TSUTAYAがベンツのショールームに―。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とメルセデス・ベンツ日本(MBJ)は、TSUTAYAを活用して自動車の新しい売り方に挑戦する。そもそもTSUTAYAでベンツの購入を決める人がいるのかどうかも含め、この取り組みの行方には注目すべき点がありそうだ。
代官山蔦屋書店でベンツを体験
CCCとMBJは2016年1月、Tポイントサービスの導入について基本契約を締結した。この契約を受け、CCC子会社のCCCマーケティング(CCCMK)とMBJが販促プロモーションおよびマーケティングの協業プロジェクトを開始させることとなった。
協業の目玉となるのは、MBJが代官山蔦屋書店内に設置する「クルマを置かないショールーム」だ。ここではVR(仮想現実)やデジタルサイネージといった技術を活用し、メルセデス・ベンツの製品体験を提供する。上野社長は以前から、「かねてからいわれているが、あまり実現していない」ヴァーチャルショールームにチャレンジしたいと考えていたそうだ。
代官山蔦屋書店では、全国のTSUTAYAに比べて自動車関連の書籍とビジネス書が14倍も売れている。そう単純な話でもないだろうが、自動車に関心のあるビジネスマンが多く来店しているとすれば、同店にMBJがショールームを設置する意味はあるだろう。
MBJは“敷居の低い”タッチポイントを確保
メルセデス・ベンツの販売店は「敷居が高い」(上野社長)といわれることもあるらしいが、代官山蔦屋書店のショールームはMBJの玄関口といったようなイメージになる。デジタルツールでベンツに興味を抱いた顧客には試乗を薦め、最終的には販売店へと誘導する。MBJにとって今回の施設は、都市部の限られたスペースにも展開可能なヴァーチャルショールームのプロトタイプという位置づけだ。CCCが運営する他の施設にも同様のショールームを設置する可能性があるという。
ちなみに、代官山蔦屋書店経由でベンツを購入すると、金額に応じたTポイントが手に入るのだろうか。気になったのでCCCの広報に確認すると、7月15日以降は、MBJの販売店で新車を購入すると、代官山蔦屋書店を経由したかどうかには関係なく、1台あたり1,000ポイントのTポイントが付与されるようになるということだった。
MBJがTポイントの提携企業に加わることで、CCC側にはどのようなメリットがあるのだろうか。見逃せないのは、CCCが持つTカード会員のデータベースに、メルセデス・ベンツのユーザーあるいはメルセデス・ベンツに興味のある人が加わるという点だ。