日本能率協会総合研究所は7月7日、60歳以上の高齢者を対象に行った「くらしと金融」に関する調査結果を発表した。

必要な金融知識は「家計の見直し」と「節税対策」

現在のくらし向きについて、「良い」「やや良い」を合わせた、肯定的な認識を持っている人(肯定派)は41.2%。「悪い」「やや悪い」の否定派は18.8%となった。

一方、今後のくらし向きについての認識は、半数が先行きが読めない模様で、肯定派はわずか8%。否定派は39%で現在の2倍に増え、高齢者における不安感は拡大の傾向にあると言える。

現在と今後のくらし向き認識

くらしの経済を考えるために必要な金融知識や情報としては、「家計の見直し」(31.8%)が最も高く、次いで「節税対策」(30.5%)と、今後のくらし向きへの認識とも連動してか家計の緊縮財政対応の知識・情報への関心が高くなった。一方、4人に1人は「証券投資」に対する関心も高いことがわかった。

金融に関する認知状況については、「クーリング・オフ」(79.1%)、「NISA」(56.8%)、「成年後見人制度」(48.3%)などは、ほぼ半数以上の人に内容まで認知されていた。一方、保険の「指定代理請求特約」は15.6%と低い。また、「為替変動リスク」「保険の解約リスク」「価格変動リスク」「金利リスク」「信用リスク」といった金融におけるリスクに関する認知度は3~4割程度であった。

銀行窓販の利用経験者は、4人に1人で、約9割が銀行窓販のことを認知していた。また、半数以上が「株式」(59.7%)や「投資信託」(51.3%)の利用経験があった。銀行窓販で扱われることが多い「変額個人年金保険」(12.0%)や「外貨建終身保険」(5.3%)といった保険商品の利用経験は1割前後で、商品の認知は、3~5割程度となった。

調査期間は3月29日~4月1日、全国の60歳以上の一般消費者男女600人を対象にインターネットで行われた。