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蚊が媒介する感染症として話題になったデング熱やジカ熱。妊婦への影響はあるのでしょうか。En女医会の産婦人科専門医・間瀬有里先生にお聞きしました。
デング熱はどんな病気?
ーーデング熱とは、どんな病気ですか?
「フラビウイルス科 フラビウイルス属 デングウイルス」によって起こる感染症です。このウイルスを持っている「ネッタイシマカ」もしくは「ヒトスジシマカ」に刺されることで感染します。日本に生息しているのは「ヒトスジシマカ」で、5月から10月に活動すると言われています。
ーーどんな症状が出るのでしょうか?
突然発熱し、頭痛や目の痛み、筋肉痛におそわれ、その後発疹が出ます。蚊に刺されてから3日から7日後に発症すると言われています。人から人へは感染しません。
妊婦さんへの影響
ーー妊婦さんへの影響は?
妊娠している女性が感染した場合、妊娠していない人に比べて重症化しやすいというデータがあります。しかし、そもそも重症化するのは200人に1人か2人程度、死亡例は6,000人に1人と推定されていて、日本では死亡例は確認されていません。
ーーデング熱に関しては、あまり心配しなくても大丈夫なのでしょうか?
大丈夫です。しかし、発熱や筋肉痛などの症状は妊婦さんには辛いものですし、妊娠中に蚊に刺されると、その跡が残りやすい傾向にあります。感染しないのが一番ですので、外に出るときには長袖をはおったり、虫よけスプレーでガードしたりしましょう。
ジカ熱は妊婦さんも注意が必要
ーーでは、ジカ熱はどんな病気でしょうか?
「ジカウイルス」を媒介する蚊に刺されることによって発症する感染症です。症状としては、軽度の発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛、発疹などで、デング熱ほどの高い熱が出ないのが特徴です。ウイルスを持った蚊に刺されても、60~80%は症状が出ないと言われています。
症状も1週間程度でおさまりますし、後遺症も残りません。これもデング熱と同じく、人から人は感染しないと言われていますが、最近では、ジカ熱のウイルスを持った人の尿や精液からの感染が疑われています。
ーー妊婦さんにとって心配な点は?
心配な点は、患者自体の症状が軽くても、胎児の発育に関連があると言われている点です。
ーー赤ちゃんにどんな症状が現れるのですか?
小頭症になる可能性が強く疑われています。脳や頭蓋骨が小さく生まれ、知能の発達に遅れがみられる怖い症状です。
ーー日本でも危険があるのでしょうか
2014年にはデング熱の原因となる蚊が日本で発生し話題になりましたが、現在はまだ報告されていません。しかしブラジルやコロンビア、メキシコやグアテマラ、ポリネシア諸島などでは多くみられます。
ーー対策は?
ジカ熱にはまだワクチンがないので予防ができません。妊婦は特に、ジカ熱が取りざたされている地域に渡航しないのが一番の予防法です。
ーーありがとうございました!
■プロフィール
間瀬有里
2003年 日本医科大学卒業。産婦人科専門医、指導医。医学博士。大学病院助教を経て、現在、東京ミッドタウンクリニック勤務。長年の大学病院勤務経験を生かし、現在は健診業務から一般外来診療まで幅広く対応している。二児の母としても、日々奮闘中。