説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『電源オンからしばらくリンゴが表示されますが、そのとき何が?』という質問に答えます。
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iPhoneは「iOS(アイ・オーエス)」と呼ばれるオペレーティング・システム(基本ソフト)により、さまざまな機能を実現します。基本的な仕組みはパソコンと同じで、基板に搭載されたCPU -- iPhoneの場合はGPUなどと一体化された「SoC」が同じ役割を果たします -- によりプログラムが実行され、通信を行ったり表示装置に描画したりといった指示を出します。
ただし、電源オンからいきなりiOSが稼働し始めるわけではありません。iOSはバージョンアップのとき停止しなければならず(動作しながら自己を書き換えることはできません)、そのためにもiOSとは別の、iOSを書き換えたり起動の指示を出したりする、より基礎的なシステムプログラムが用意されているのです。
そのシステムプログラムは、一般的に「ファームウェア」と呼ばれるものです。電源オン直後に呼び出され、特に問題がなければiOSの起動処理に入ります。その処理には十数秒ほどの時間を要しますが、なにも画面に表示されていないとユーザの不安を招くため、リンゴマークを表示しているのです。つまり、電源オンからしばらく表示されるリンゴマークは、iOSの動作開始に向け準備中という合図です。
なお、iPhoneのファームウェアは、書き換えできない領域(ROM)に格納され、以降の処理を担うファームウェアが不正なものでないか確認する程度の単機能なものと、iTunesからの復元やリカバリーモードを司るシステムプログラムとしての機能を持つ高度なファームウェア(通称「iBoot」)の2段階が存在します。通常、存在を意識する必要はありませんが、ファームウェアを分けることにより不正なプログラムが入り込むことを防いでいます。