ここ数年、深海生物が人気だ。筆頭はダイオウグソクムシ。巨大ダンゴムシのようなごつめのルックスでありながら、どういうわけだか女性ファンも多く、ぬいぐるみやスマホケースなどの関連グッズも飛ぶように売れている。中でもひときわネット民の注目を集めているのは、静岡県の沼津港深海水族館で販売された「ダイオウグソクムシ 茶こし」。なんと、毎度入荷後即完売するほどの人気ぶりなのだ。
デザインを手がけたのは生物のスペシャリスト
ネット民が異常なざわつきを見せている理由のひとつは、リアル過ぎるキモかわいい見た目。背面のまるみから7対の符節まで、驚くほど忠実に再現されているのだ。
それもそのはず。制作を手掛けている「カロラータ」は、「商品を通じて、生物・自然生態系のすばらしさを伝えていくこと」をコンセプトに、フィギュアやぬいぐるみ、ライフスタイルグッズなどを作り続けている企業ゆえ、商品作りの参考となる資料に事欠かないのだ。つまり、ダイオウグソクムシに関しても、細部までしっかりと作り込むことができたというわけである。
毎日のティータイムで生物のすばらしさを
しかし、なにゆえ茶こしを作ろうと思ったのだろう? その疑問をカロラータ代表の西澤孝さんにぶつけてみたところ、「日々の生活の中でよく目にするものに生物のデザインを落とし込むことで、その生物のすばらしさをより多くの人に伝えられると考えたんです」と告白。
さらに、西澤さんにとっての"毎日の習慣"が紅茶を飲むことだったことから、カップのふちにひっかけて使える茶こしがいいのではと思いつくに至ったんだそう。しかも、「ダイオウグソクムシの顔が、飲む人の方を向くようなデザインにこだわりました」とのコメントも実にユニークだ。
脱皮時のスタイルまでリアルに再現!?
また、大の紅茶LOVERだからこそ、"もっともいい塩梅で茶葉を抽出できる形状"も意識したところ、茶こしの取り外し位置が、ダイオウグソクムシの脱皮時の胴体の裂け目と偶然一致したそう。これには、仕上がったサンプル品を見た沼津港深海水族館館長の石垣幸二さんも興奮の色を隠しきれない様子で、「"奇跡の茶こし誕生ストーリー"としてぜひ多くの人に知ってもらいたい」とコメント。
加えて、「実はダイオウグソクムシの脱皮は、いまだかつて世界のどの水族館も成功させていないんですよ」と明かし、"夢の商品"に倣ってぜひとも沼津港深海水族館で世界初となる偉業を達成したいと意気込む。
この6月には「メンダコの水槽での展示公開世界記録(=52日間)」を達成している同館ゆえ、世界初の脱皮成功も大いに期待できそうだ。
※写真提供: 沼津港深海水族館
※記事中の情報・価格は2016年7月取材時のもの