インターネットイニシアティブ(IIJ)は、郵便局を通じた格安スマホの販売を8月1日から開始する。郵便局にカタログを置き、それをもとに低価格SIMカードとスマートフォンのセット商品を販売する。

低価格SIMと「arrows M03」のセット商品を郵便局のカタログを通じて販売(写真:PIXTA)

同社が販売するのは、音声通話機能付きで、高速データ通信量が月間3GBの「ミニマムスタートプラン」と富士通コネクテッドテクノロジーズ製の「arrows M03」のセット商品。購入希望者は、郵便局で入手したカタログをもとに電話もしくは付属のハガキで申込書を請求、後日届いた申込書を返送すると、設定済の端末が手元に届く仕組み。電源を入れるだけで使用可能になるという。

商品購入までの流れ

注目すべきは、料金プラン、端末ともに上記のパターンに限られることだ。同社には、より大きな容量の通信プランがあり、エイスース、ファーウェイ製端末のセット販売も行っているが、今回はあえて選択肢を設けずシンプルなセット商品にしたという。

その理由について同社広報部は「主婦層やシニア層に向けたサービスであり、選択肢を多くして複雑にしないようにした」と説明する。料金プランは同社が用意するもののうち高速データ通信容量が最も少ないものとなる(月額1,600円 ※端末一括購入の場合)。端末代金も一括購入で32,800円とハイスペック端末に比べて値頃感は高い。いわば、スマートフォン入門者向けのセット商品となる。

同社はこれまでも、ビックカメラなどの大手家電量販店、イオンなどを通じてSIMカードの販売を行ってきたが、新たに郵便局を活用することで、顧客とのタッチポイントを増やすことが可能になる。当初は岐阜県、愛知県、静岡県、三重県にある2050の郵便局にカタログを設置、状況に応じて全国に展開していくという。

目下、家電量販店を活用したり、実店舗を構えたりして、顧客との接点を増やし、利用者の増加を図っているのがMVNO(仮想移動体通信事業者)だ。こうした接点の多くは都市部に集中しており、都市部以外にはリーチしきれていなかった面がある。そうした層にはウェブという選択肢があるが、ウェブに馴染みのない層にはハードルが高いだろう。

今回の取組みはカタログというアナログな手段だが、スマホ利用率が他の世代に比べて低く、伸び代のあるシニア層に向けた取組みとしては、大きな効果を発揮するのかもしれない。