東京商工リサーチはこのほど、2016年6月の「円安」関連倒産の調査結果(速報値)を発表した。それによると、6月の「円安」関連倒産は4月と並んで今年最少の6件にとどまった。前年同月(24件)と比べて18件減少した。
為替相場の急激な振れ、中小企業に影響
6月のドル円相場は、円高・ドル安の基調で推移していたものの、24日の東京外国為替市場では、英国のEUを巡る国民投票で離脱派が優勢との見方から急速に円が買われ、午前11時半過ぎに2013年11月以来、2年7カ月ぶりに1ドル=99円台を付けた。
負債総額は53億3,300万円で、前年同月(85億1,800万円)より31億8,500万円減少した。東京商工リサーチは「為替相場が円高に振れていることなどもあり、今後しばらく『円安』関連倒産は今のような状況が続くのではないか。ただ、為替相場の急激な振れは中小企業に与える影響が非常に大きいため、円高、円安どちらの変動幅についても注目されるところだ」と分析している。
2016年上半期(1~6月)の「円安」関連倒産は前年同期比32件減の60件(前年同期92件)。東京商工リサーチは「中国や新興国などの景気減速から資源価格が低下し、円安が必ずしもコスト高に直結していないことが影響した」と分析。一方、産業別では前年同期の5件から6件に増加しており、「今後も輸入品などを扱う企業の動向が注目される」としている。