Appleは、WWDC16の基調講演で、6月30日で1周年を迎える音楽定額ストリーミングサービス「Apple Music」のインターフェイスデザインを刷新することを発表した。
同サービスは、日本においては月額980円、6人までのファミリー会員で月額1,480円でスタート。ワールドワイドな有料会員数は、2月に1,100万人、4月に1,300万人と、順調に増加し、6月のWWDC16のステージでは1,500万人に達したことを発表した。2016年に入ってからも1カ月に100万人ずつの会員を獲得するペースを保持しているとみられる。
プレゼンテーションでは、iOS 10のパートの中で紹介されたが、macOS Sierraに搭載されるiTunesでも、新たなデザインが採用されることになる。新デザイン導入の目的は、より直感的でシンプルな音楽体験を実現することだそうだ。
新しいApple Musicは、このゴールに近づくことができるのだろうか。
本連載でも指摘してきたが、Apple Musicのこれまでのインターフェイスの問題は、一言で言えば「とにかく音楽を聞くためにたくさんタップしなければならない」ということだった。
Apple Musicにはクラウドで管理するマイミュージックのライブラリも存在するが、基本的には配信されている音楽を見つけて聞く、というスタイルで音楽を楽しむ。そのため、どうしても、聞き始める前に音楽を選ぶ作業がなくてはならない。
自分が購入したり、iPhoneに取り込んだ音楽しか聞くことができなかった過去のミュージックアプリと比べると、「なんでも聞ける」という飛躍的に高まった音楽体験がある一方で、どうしても、1曲目を聞き始めるまでにワンステップ、ツーステップ余計な手順が必要になっていたのだ。
新しいApple Musicのゴールは、この「自由さの代償」をいかに解決するか、ということだった。
変更されたタブ構成
Apple Musicと統合されたiOS 9のミュージックアプリをiPhoneで利用すると、5つのタブが用意されている。
- 「For You」
- 「New」
- 「Radio」
- 「Connect」
- 「MyMusic」
この5つのタブ構成が、iOS 10では以下のように変更される。
- 「Library」
- 「For You」
- 「Browse」
- 「Radio」
このように、タブを一つ減らした実装となるのだ。
そのまま残ったのはFor YouとRadio。新しいLibraryはMyMusicから名前が変更となり、並び順も1番目に変更されている。NewとConnectは、新しいタブ構成からは削除されている。 Appleとしては、一番右端に追いやっていたMyMusicを一番右端のLibraryとして、順位を引き上げ、Apple Musicとの統合で損なわれていた自分の音楽を聞く、という体験を見直した形となる。これはApple Musicに契約していないユーザーにとっても、よりわかりやすく扱うことができる改善ポイントと言える。