6月28日、日本マイクロソフト(日本MS)は6月1日にリリースしたSQL Server 2016に関する記者説明会を開催し、パートナー向けトレーニングや日本独自の「SQL Server 2016 SSD Appliance」といった施策など多くの情報をアップデートした。そこで語られたのは"データカルチャー"の存在である。

日本マイクロソフト 業務執行役員 マーケティング&オペレーションズ クラウド&エンタープライズ ビジネス本部長の佐藤久氏は「データはビジネスを動かす原動力になる」と述べつつ、データカルチャーの醸成が現在の日本に欠かせないと強調した。ビジネスチャンスを作り出すデータカルチャーの醸成から得られるメリットとして、「業務の効率性」「リアルタイムの意思決定」「事業継続性の向上」「プロセスの改善」「指令系統の可視化」という5つのポイントを並べた。

日本マイクロソフト 業務執行役員 マーケティング&オペレーションズ クラウド&エンタープライズ ビジネス本部長の佐藤久氏

そもそも"データカルチャー"は、Microsoft CEOのSatya Nadella氏が掲げたスローガン「モバイルファースト、クラウドファースト」の根底ある存在だ。すべてのデータをクラウドに集めて、機械学習や分析などを行うことで、クラウド時代のビジネスソリューションを生み出せるとNadella氏は語っている。もちろんデータカルチャーは単なる技術的アプローチに留まらず、そこに利用する組織や人の存在が重要だ。適切な道具があって初めて我々は旧態依然のビジネスソリューションから抜け出せるため、組織全体のデータカルチャー整備が重要だという。

だが、地域リサーチコンサルティング企業Asia Insightの調査によれば、日本国内におけるビジネスリーダーの85%は自社のビジネス戦略に対し、データ活用の余地があると考えている。逆の見方をすれば、それだけ国内のビジネスにはデータカルチャーによる可能性が存在する。しかし、データカルチャーの実現には3つの大きなギャップがあると佐藤氏は語る。例えばデータアジリティのための基盤整備は十分かという設問に対し、ワールドワイドでは89%がYesと回答する一方、日本はモバイルデバイスからのアクセス環境整備を終えているのが29%。データの増加に伴う規模拡大準備は36%。データを利用した将来動向予測は31%に留まっている。IDCの調査によればデータ活用の経済効果は1.6兆ドル(1ドル101円換算で約162兆円)。だからこそ、データカルチャーの醸成が解決課題の第1歩だと佐藤氏は強調した。

データカルチャーを実現するために解消すべきギャップを説明したスライド。ワールドワイドと比べると日本の対応は著しく低いという

そのため日本マイクロソフトはSQL Server 2016パートナー企業向けトレーニングを2016年2月から開催している。6月24日までに237名の営業職、337名のシステムエンジニアが参加し、87%の営業担当者と95%のシステムエンジニアは、SQL Server 2016を自社のインフラとして上層部に提案したくなったとアンケートに回答。「レポーティングやインメモリといった機能が魅力的。データベースの移行に限らず、既存アプリケーションの代替にも検討できるのでは」と回答したシステムエンジニアの声を紹介した。