2016年5月で創立70周年を迎えたソニー。東京通信工業としてスタートした同社は、トリニトロンカラーテレビやウォークマン、PlayStationなど、これまで数々のヒット商品を世に送り出してきた。

そんなソニーが6月29日、2016年度経営方針説明会を開催。ソニー 代表執行役 社長 兼 CEOの平井一夫氏自らが登壇し、2017年度中期経営計画の進捗、2018年度以降の布石として取り組んでいる施策について説明した。

ソニーは経営方針説明会を開催

痛みを伴う構造改革から、成長への投資に舵を切ったソニー。本稿では主に、ソニーが何を見据え、どのような手を打っていくのか、将来に向けた取り組みをみてみたい。

調子が上向いてきたソニー

2015年度の連結営業利益が前年度より2,256億円増の2,942億円を記録、PS4が歴代のPS史上最速で普及拡大するなど明るいニュースが続くソニー。つまずいていたテレビ事業とモバイルコミュニケーション事業含め、2015年度にはコンシューマー向け製品が盛り返してきた。この勢いのまま、2017年度の経営数値目標である、ROE(株主資本利益率)10%以上、営業利益5,000億円以上を達成したい考えだ。

2015年度の連結業績

2017年度の経営数値目標

ちなみに、連結営業利益が5,000億円以上となったのは、5,257億円を記録した1997年度の一度きり。「(連結営業利益5,000億円という数値は)チャレンジングな目標。20年ぶり2度目となるこの数字を達成できたら、ソニーが現在目指している高収益企業へ変容するための重要なマイルストーンとなる」(平井氏)と説明する。

2016年度は、4月に発生した熊本地震の影響(CMOSイメージセンサーなどを生産する「熊本テクノロジーセンター」が被災。徐々に復旧しており、2016年8月末をメドにフル稼働する見込み)を差し引いても、2015年度と同水準の連結営業利益3,000億円に達する見込みだ(2016年5月時点)。

コンシューマー向け製品が少しずつ勢いを取り戻したことで、平井氏は「新たなチャレンジを加速するべき時が来た」という。そして今後の注力分野として言及されたのが「VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)」「AI・ロボット」だ。