帝国データバンクは6月24日、「イギリス進出企業の実態調査結果」を発表した。

半数近くが大企業で最も多い業種は「製造業」

このたびの英国国民投票によるEU離脱選択により、欧州を中心に世界経済全体が大きく変化する可能性があり、英国へ進出している日本企業を始め、多くの企業が「Brexit」への対応を余儀なくされる。

英国に進出している日本企業は、2016年6月時点で1,380社あることが判明した。業種別に見ると、最も多かったのは「製造業」の558社で構成比40.4%を占めた。以下、「卸売業」の258社(構成比18.7%)、「サービス業」の234社(同17.0%)、「金融・保険業」の159社(同11.5%)と続いた。

大企業の進出が627社、構成比で45.4%を占める

1,380社を年商規模別に見ると、最も多かったのは「100億円以上1,000億円未満」の407社(構成比29.5%)となった。また、中小企業基本法に基づく企業規模別では、「中小企業」は753社(構成比54.6%)、「大企業」は627社(同45.4%)だった。

2016年5月に帝国データバンクが調査した「ASEAN進出企業実態調査」では、大企業の構成比は19.5%であったが、先進国である英国へ進出している大企業の構成比はASEANを25.9ポイント上回っている。EUとASEANは共に巨大な統一市場を有するが、安定した社会や整備された法制度など先進国のメリットを背景に、より多くの大企業が英国に進出している。

英国進出企業の多くは、同国を欧州進出の拠点としているほか、低コストでEU域内に自由な金融サービスを提供できる金融拠点としても位置付けている。そのため、他のEU加盟国への拠点移転や資本の引き揚げ、欧州撤退も含めた対応を迫られる恐れがある。

また、現在交渉が進む「日EU経済連携協定」についても、EUの混乱に伴う合意の遅れは避けられず、対EU貿易やEU市場参入などにおいて、広く日本企業へ影響が出ることが懸念される。

帝国データバンクは、「『EUからの離脱(Brexit)』が確実となり、英国へ進出している日本企業への影響は避けられない」とコメントしている。