アクアシティお台場・ノイタミナショップ&カフェシアターにて25日、フジテレビ"ノイタミナ"ほかにて放送中のアニメ『甲鉄城のカバネリ』の「セレクション上映会&トークショー」が開催され、主人公・生駒役の畠中祐が登壇した。
「セレクション上映会&トークショー」は、『甲鉄城のカバネリ』出演キャストが選んだお気に入り回を上映し、作品の裏話などを語っていくイベント。
イベントがスタートし、畠中は会場まで小走りで登場。しばらくマイクのスイッチが切れたことに気付かず地声で話し続け、ようやくそのことに気付くと、「ごめんなさいー、地声でしたね。声、届いてました!?」とあっけらかんと話し、常に緊迫した演技の生駒とは対照的なほどの明るさを見せつけていた。
畠中はお気に入り回として第7話「天に願う」を選び、「この直後、怒涛の展開になっていきますが、無名が等身大の表情を見せてくれたり、生駒が無名にまっすぐ向き合い決意を新たにしたりと、一人ひとりの日常や表情が見える回です。これから戦いに向かっていく上で、もう一度振り返っておきたい場面です」と、『カバネリ』では珍しく戦闘シーンのない休息回でもある第7話をセレクトした理由を語った。
さらに、第7話で印象的だったシーンとして、神社での生駒と無名との掛け合いを挙げ、「生駒が無名を人間に戻し、お米を腹いっぱい食べさせると決意を新たにするシーン。何度も撮り直しました……」としみじみと話しだす。「最初にこのシーンを演じたときは、掛け合いの中で僕の心がぶれてしまいました。そうしたら荒木(哲郎)監督や、音響監督の三間(雅文)さんから、『生駒は人間の尊厳のために戦っているという、芯がある。このシーンでは無名が揺れ動くところが見たい。だから生駒は絶対にぶれないでほしい』と言われ、お互いの会話が生になっていくまで、何回も撮り直しました」と振り返った。
そして、生駒との距離感について、最初はもっと遠い存在だと思っていたと明かす畠中。「挫折や苦しみを経ている生駒は、僕と違う経験をしてきた、違う人間だと思っていました。どう演じていけば良いのか、悩んでいましたけど、近くなってきたのが、第6話あたりからです」とコメントし、「ここからはぶっちゃけます」と続けて語りだす。
「自分で言うのもなんですけど、僕は芝居が下手くそなんですよ。器用じゃないので、うまくできない。叫ぶのも苦手で、いろいろな人に迷惑をかけたこともあります。自分でもどうしようもないことが多くあり、いつかこの現場に戻ってきたときには見返さないと! と思う瞬間はたくさんありました。この悔しさをバネにして頑張りたい、と思う感じは、生駒を演じる上で共感できるところですね」と自身とのシンクロ具合について述べ、「下手くそは下手くそなりに体を動かして、行動して示せ! と。生駒と一緒にあがきたいですね」と熱くなる畠中は、第11話の生駒が決意を新たにする姿と重なって見えた。
その第11話で、生駒が自らの首枷を外すシーンでは、「死にたかった」と言う。第1話でカバネ化を食い止めるために自らの首を絞めるシーンでは、実際に首を絞めながら演じていたことを振り返り、「第1話は、もう一度誇れる俺になるんだ、と奮起する『決意』。今回は、無名のために命をかけるんだという『覚悟』です。なので、第1話とは違う踏ん張り方をしたかった」と命をかけ演じていたという畠中。その真剣さを目の当たりにしたためか、会場はシンと静まり返っていた。
『甲鉄城のカバネリ』は、蒸気機関が発達した島国「日ノ本(ひのもと)」を舞台に、鋼鉄の皮膜に覆われ、心臓を撃ち抜かないかぎり滅びない"カバネ"の脅威に対抗すべく各地に「駅」と呼ばれる砦を築き、その中で生き延びていく人たちの姿を描いたオリジナルアニメ。6月22日にはBlu-ray/DVDの第一巻が発売。9月25日にはスペシャルイベント「甲鉄城の宴」を開催する。
(C)カバネリ製作委員会