説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『すでに日本でApple Payが使えるってホント?』という質問に答えます。
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「使える」という規模ではありませんが、2016年6月現在、Apple Payによる支払いを受け付けている店舗が存在することは事実です。公式には対応を表明していないので具体的な社名は伏せますが、調査したかぎりではある外資系外食チェーン店のうち数店舗が、Apple Payで支払い可能な状態にあります。
Apple Payは、iPhone 6以降に内蔵されている近距離無線通信チップ「NFC」を利用し、店頭で端末にタッチして支払いしたり、アプリ内で決済したりできるサービスです。「Wallet」アプリにクレジットカードやデビットカードを登録しておけば、NFCに対応する決済用端末が設置された店舗で利用できます。「EMVコンタクトレス」(EuroPayとMasterCard、Visaによる非接触決済規格)をベースとしているため、MasterCard「PayPass」やVisa「payWave」の国内加盟店であれば支払いできる可能性はあります。
ただし、登録できるカードは米国などサービスが開始されている国・地域で発行されたものに限られます。2016年6月現在日本国内でApple Payを利用する人がいるとすれば、旅行客や海外在住経験者くらいなものでしょう。
さらに、「PayPass」や「PayWave」の加盟店かつNFC対応端末が設置された店舗であっても、Apple Payで支払いできるとは限りません。正式に開始されていないサービスという事情もあり、レジを担当する店員がApple Payでの支払い手順(「NFC Pay」を選択する)を知らない可能性も大です。堂々と「使える」という段階にはなく、観光地などEMVコンタクトでの支払いを選ぶ顧客が一定数存在するエリアで実験的に行われている、という理解が正しいようです。