安倍首相が「消費税10%への引き上げを2年半延期する」と表明しました。支出の多い子育て家庭にとって、うれしいニュースだったのではないでしょうか。また、増税前に住宅購入を考えていた方にとっては「いつ買うべきか? 」と再考する機会になったと思います。そこで今回は、消費税がマイホーム購入にどのように影響するのか、いつ購入するのがオススメなのか、解説したいと思います。
消費税8%と10%の違いはいくら?
消費税が8%のうちに住宅を購入すべきかどうか、考えている家庭は多いと思います。しかし実際増税によって、どれだけ支出が変わってくるのか考えたことはありますか。消費税に影響するのは主に建物部分と諸費用の一部です。土地は税金のかからない「非課税」となります。
新築一戸建てを購入する場合も考え方は同じですが、中古物件を購入する場合は売り主が個人か業者かによって消費税のかかる部分が変わります。個人から買う場合、物件自体に消費税はかかりませんが、不動産会社の仲介手数料には消費税がかかります。売り主が不動産会社であれば、新築物件を買う場合と同様です。ですから、実際に購入を考えるときには消費税の"かかるもの"と"かからないもの"を確認していきましょう。
例えば物件価格3,500万円(土地価格: 1,500万円)の新築マンションを消費税8%で購入した場合と、10%で購入した場合を比べてみます。この場合、土地価格は非課税になるのでその他の部分に課税されると想定すると差額は41万円。家具・家電の購入や引っ越し費用など、何かと物入りになることを考えると、消費税8%と10%の違いは家計に与える影響が大きいと言えます。
今回のニュースで「消費増税が8%のうちに家を買わなければ! 」と焦っていた方には少し猶予が与えられた形になりますが、実は今すぐ購入を検討した方がお得になる可能性が高いと私は考えています。
住宅価格は高めでも値段交渉の余地がある
住宅購入を検討していた方にとって懸念材料となるのは住宅価格の高騰ではないでしょうか。オリンピック景気を受けて、住宅の価格自体は高めに推移しているからです。マンションに限って言えば、東京都内だけでなく日本全国で起こっている現象です。大型物件の建設に必要な鉄骨資材が不足していることや、大きな建物の建てるのに必要な技術を持った人材が不足しているためと考えられます。
しかし消費増税が延期されたことで、駆け込み需要をもくろんで強気の値付けが行われていた物件も、値段交渉の余地が出てくるのではないかと予想されます。特に販売時期の決まっているマンションなどは、物件によっては大幅な値引きに応じてくれることもありうるので、念頭において交渉してみると、いい結果が得られるかもしれません。
さらに現在、日銀の金融緩和政策を受けて超低金利が続いています。この影響で住宅ローンは「史上最低水準の低金利」を更新。「住宅ローン減税」(2019年6月居住分まで)や「住まい給付金」(2019年6月まで)、それに子や孫に住宅購入資金を与えた際の贈与税が非課税になる「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」も実施され、お得な制度が充実しているのです。
これらの要素や自身の家庭の状況も踏まえながら、ぜひ一度、マイホーム購入の計画を立ててみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
マイライフエフピー代表 加藤葉子
子育て真っ最中のファイナンシャルプランナー。子どもを授かったことをきっかけに、教育費や学資保険の仕組みなどに興味を持ち、ファイナンシャルプランナーの勉強を始め、3年で子どもの教育資金を貯める。現在は、全国の女性からの教育費・老後資金・起業・離婚・投資なのお金の相談を中心に執筆・マネー講師として活動しながら、ファイナンシャルプランナーの育成にも力を入れている。自身のホームページ「女性とシングルマザーのお金の専門家」でもお金にまつわるお役立ち情報を提供している。