ASUS JAPANは16日に法人向けAndroidタブレット「ASUS ZenPad for Business 7.0」および「ASUS ZenPad for Business 10」を発表した。カラーは白/黒の2色展開で、7型の「ZenPad for Business 7.0」のみLTEモデルも用意される(10インチモデルはWi-Fiモデルのみ)。価格はオープンとなっており、代理店(テックウインド/シネックススインフォテック)経由の販売となる。

ZenPad for Business 7.0。Wi-FiモデルとLTEモデルがあり、カラーはホワイトとブラック

ZenPad for Business 10。こちらはWi-Fiモデルのみ。ホーム画面は極めてシンプルだ。ASUS製タブレットやスマートフォンで採用されている独自UI「ZenUI」はあえて使っていない

ZenPad for Business 7.0/10は共にオープン価格。後述するADAM Webコンソールは現時点で価格未定となっている

説明会ではまず、ASUS JAPAN コーポレート事業部 事業部長 兼 アライアンス推進室 室長の鈴木真二氏が発表の経緯を説明。ASUSでは2011年からタブレットの販売を行っており、個人向けではAndroidやWindowsを搭載した製品で多くのシェアを獲得している。一方で企業向け製品についてはまだまだ開拓の余地がある。

ASUS JAPAN コーポレート事業部 事業部長 兼 アライアンス推進室 室長の鈴木 真二氏。手に持っているのはZenPad for Business 7.0

2015年Windows/Androidタブレット販売台数No.1のASUS。コンシューマに強い同社だが、今回は法人のニーズに沿った製品を展開する

法人向けではMDM(Mobile Device Management)、MAM(Mobile Application Management)/MCM(Mobile Contents Management)、そしてEMM(Enterprise Mobility Management)といった管理ソリューションが欠かせない。日本国内におけるEMM市場は年19%と高い成長をみせているという。

法人向けにAndroidを販売する場合、キモとなるのがMDM/MAM/MCM/EMMと言った管理ソリューションで、この分野の成長は大きい

そこで法人向けのカスタマイズを前提に、シンプルかつ管理機能を備えたAndroidタブレットを投入する

また、ASUS JAPAN コーポレート事業部 営業1課 法人タブレット・スマートフォン製品担当のEdward Guan氏は、同社製品を法人顧客へ導入する際、サードパーティ製MDMを含めて導入することが多いが、コストがかかることに加えて、特定のアプリケーションだけ立ち上げて、専用端末として利用可能な「KIOSKモード」に対応していない点がネックだったと説明する。

ASUS JAPAN コーポレート事業部 営業1課 法人タブレット・スマートフォン製品担当のEdward Guan氏

法人用途としては従来サードパーティのMDMの引き合いが高いものの、手間と時間に加えてKIOSKモードがないというのがネックだったという。特にKIOSK対応はOSカスタマイズとなり費用がかかる

このような背景から、ビジネス市場に向けて、ASUS独自のMDM「ADAM(ASUS Device Admin Management)」を搭載した製品を発表するに至ったという。

製品の概要に関してはASUS JAPAN システムビジネス部 テクニカルプロダクトマネージャー 大村一郎氏が説明。今回発表するモデルはコンシューマ向けの製品とハードウェア面ではほぼ同じでありながら内蔵するファームウェア部分が異なるという。

ASUS JAPAN システムビジネス部 テクニカルプロダクトマネージャーの大村一郎氏

コンシューマ向け製品の場合はZenUIというASUS独自のカスタマイズが施されている一方、今回発表の製品はASOP(Android Open Source Project)ベースのシンプルなもので、プリインストールするアプリも少な目。一方MDMとしてのASUS独自の「ADAM」が含まれている点が特徴だという。

ZenPad for Businessの訴求点としてデバイス管理ツールを内蔵し、OSそのものは素に近いものを提供する

ASOPベースなので、アプリケーションの開発も容易で、作り込みしやすい素材を提供する

ASOPベースなのでアプリ開発に有利なうえ、ADAMを利用することで端末の管理や機能制限が可能で、情報漏えい防止やセキュリティの強化を実現する。さらにMDMを搭載することでキッティング作業の軽減が見込めるという。

保守管理としてADAMを搭載。端末で設定するだけでなく、外部からの一括管理も行える

外部電源ONで自動起動、電源OFFでシャットダウンと店舗利用に便利そうな機能も用意されている(Wi-Fiモデルのみ)

ADAMの設定は端末からも行え、設定のエクスポートやインポートも可能となっている。このため数台の設定ならば端末だけでも管理可能だ。さらに管理台数が多い場合や複数の環境をまとめて管理したい場合にはWebベースの「ADAM Webコンソール」を利用することができる。

外部電源ONで自動起動、電源OFFでシャットダウンと店舗利用に便利そうな機能も用意されている(Wi-Fiモデルのみ)

Webベースなので管理環境を選ばず、グループ化によって複数環境をまとめて管理することができる。部署ごとに必要なアプリが異なる場合でも、同じアプリケーションをインストールした状態でキッティング作業を行い、ADAMのグループ化機能で部署ごとに必要なアプリの実行を許可するという使い方が行える。

ADAM Webコンソールは複数端末をグループで設定可能だ。このため支給する相手に応じた設定を行うことですべて同じ設定でキッティングして、使うときに部署ごとに利用可能アプリを変更することが可能

さらに従来OSのカスタマイズという費用がかさむ、特定アプリしか動作を許さないキオスクモードにも対応しており、比較的低コストで専用端末が構築できることをアピールしていた。

Webコンソールの画面例。アプリタブでは端末、グループ毎に表示するアプリアイコンを変更することで利用制限を行うことができる

こちらはステータス設定。ナビゲーションバーやシステム設定の表示を止めたり、アプリのインストールを勝手に行えない設定ができることがわかる。FOTAを止めるのはバージョンアップで作成したアプリが動かなくなることを避けるためだ

紛失盗難などへの対応として、リモートロックしたり、ワイプも可能。接続するWi-Fi APを制限することもできるという事なので、盗んでも事実上使い物にならなくできるそうだ

専用端末化として望まれているのがKIOSKモード。従来のAndroidタブレットではOSのカスタマイズが必要となり、工数と費用がかさむ問題があった

連携ソリューションの観点ではアイズ 代表取締役の川邊 泰志氏が登壇。同社はICカードをかざすだけでその人に合わせたメニュー画面を表示させる技術を持っており、キオスクモードがOSをカスタマイズすることなくできる事を歓迎していた。

アイズ 代表取締役の川邊 泰志氏

操作がわからない人向けにICカードをかざすだけでその人に合わせたサービスのみを表示するiZE Smart Desktopサービスを開発

同じ端末でも認証のためのICカードを変えることでその人にカスタマイズされたサービスが利用可能となる

同じ仕様の端末ならばICカードをかざすだけで同じ利用環境が実現可能となる

同じ仕様の端末ならばICカードをかざすだけで同じ利用環境が実現可能となり端末メーカーに依存せず同じ構成にできる

端末ADAMアプリ上での設定画面。ほぼ4画面分の設定が用意されており、かなり細かいカスタマイズが行える

システムボタンやステータスバーの非表示、特定アプリのみを動作させるKiosk設定も本体で設定することができる