カーシェアリング、Uber、クラウドソーシング、クラウドファンディング……最近よく耳にするこうした言葉は、全て一般生活者がビジネスに参加する「シェアリングエコノミー(共有型経済)」と呼ばれるビジネスモデル。近年、世界的にその規模は拡大し、日本国内でも2018年には462億円規模(矢野経済研究所調べ)の市場にまで成長すると言われている。

そうしたシェアリングエコノミーの市場を世界に生み出したパイオニアのひとつが、一般個人の住宅を観光客などに宿泊施設として提供するホームシェアリング(民泊)サービスの「Airbnb」だ。グローバルでは191カ国3万4000都市に200万の物件を展開し、これまでに8000万人が利用。日本国内でも3万5000の物件を提供し、最近ではTSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブとマーケティング活動などにおけるパートナーシップ契約を締結。Airbnbをはじめとする民泊の市場拡大を受けて、行政も法整備や規制緩和を検討している状況だ。

2008年8月創業のAirbnb。民泊サービスの最大手で、現在は世界で200万の物件を展開する(画像は日本語版HPのトップ画面)

世界的な市場の創出を実現したAirbnbは、こうしたホームシェアリングが拡大する先にどのようなビジョンを描き、そしてシェアリングエコノミーの未来をどのように見据えているのだろうか。来日したAirbnb共同創業者のネイサン・ブレチャージク氏へのインタビューを基にレポートする。

日本で逼迫する宿泊施設の需給、民泊が解決策に?

日本におけるAirbnbのビジネス展開について、ブレチャージク氏は対前年比500%の成長を遂げているデータを挙げたうえで、「世界的に見ても、日本が最も高い成長を遂げている」と説明する。その背景にあるのは、国が全力を挙げて取り組んでいる訪日外国人観光客の増加によるインバウンド需要の拡大だ。

Airbnb共同創業者兼CTOのネイサン・ブレチャージク氏。同社の技術的戦略を指揮する

ブレチャージク氏は、こうしたインバウンド需要増加の動きはAirbnbの普及拡大にとっても大きなチャンスだとみている。「東京オリンピックが開催される2020年には、訪日外国人観光客が4000万人になるといわれている。日本における観光産業全体の成長とともに、Airbnbの著しい成長は続くだろう。訪日外国人観光客の急増によって観光客を受け入れる(ホテルなどの)キャパシティが大きな課題であることは明白であり、それに対してAirbnbが解決策を提案するというのは自然な流れではないか」とブレチャージク氏。観光客の増加に伴う宿泊施設の枯渇に対して、ホームシェアリングが価値あるソリューションになるというのだ。