東京商工リサーチは6月16日、2015年「全国女性社長」調査の結果を発表した。調査は、東京商工リサーチの保有する280万社の経営者情報(個人企業を含む)から、女性社長(病院、生協などの理事長を含む)を抽出、分析した。調査は2010年から実施し、今回が6回目。

全国280万社のうち、女性社長は調査を開始した2010年以降で最多の33万2,466人(前年31万55人)にのぼった。

女性社長数・女性社長率推移

女性社長率、最高は東京都、最低は岐阜県

都道府県別で女性社長数が最も多かったのは、東京都の8万6,274人(前年7万9,880人)で6年連続トップを維持した。次いで、大阪府2万9,472人(同2万7,678人)、神奈川県2万2,626人(同2万598人)、愛知県1万5,974人(同1万4,898人)、埼玉県1万4,008人(同1万2,891人)と、大都市が上位に並んだ。一方、少なかったのは、鳥取県1,232人、島根県1,328人、福井県1,573人と前年と順位は変わらず、人口に比例している。

企業数と女性社長数を対比した「女性社長率」の全国平均は11.8%で、前年(11.5%)に比べ0.3ポイント上昇した。

「女性社長率」の最高は、東京都の14.3%(前年14.0%)。次いで、神奈川県13.2%、兵庫県 13.0%、福岡県12.98%、大阪府12.97%と続き、ここでも大都市圏が目立った。「女性社長率」の上位20位のうち、西日本は15府県(九州・沖縄6県、近畿4府県、四国3県、中国2県)がランクインし、「西高東低」の傾向が強まった。

一方、比率が低かったのは、岐阜県7.9%、新潟県8.0%、山形県8.10%、石川県8.12%、福井県8.15%の順。「女性社長率」が低い地域では、「1世帯平均構成人員」が多い傾向がみられる。「このことから少子高齢化が進む中で、家事や育児、介護などの家庭負担が、女性の起業にも影響が大きいことが透けてみえる」と同社。

産業別で最多は、宿泊業、飲食業、介護事業、美容関連、教育関連などの「サービス業他」で、13万7,837人(構成比41.5%)だった。小資本でも起業しやすい業種が多く、全産業の4割を占めた。また、産業別の「女性社長率」は、不動産業が21.3%でトップだった。同社では「女性の起業は、個人向けサービス等の暮らしを充実させる分野での事業展開が多いということを示している」としている。

女性社長の出身大学1位は日本大学

女性社長の出身大学は、日本大学が326人(前年272人)で6年連続トップを維持した。2位は東京女子医科大学の262人(同232人)。3位は慶応義塾大学の246人(同228人)。4位以下は、早稲田大学208人、青山学院大学205人、日本女子大学183人、同志社大学150人、共立女子大学127人と続く。

国公立大学では、14位の東京大学が99人(前年93人)でトップ。次いで、24位に九州大学71人(同50人)、25位に千葉大学70人(同50人)、25位に広島大学70人(同62人)、29位に北海道大学67人(同60人)が入った。上位30位までに女子大は7校(前年9校)がランクインした。

女性社長の名前の1位は、「和子」が4,371人で6年連続トップ。2位が「洋子」3,657人、3位は「幸子」3,615人で、上位3位は前年と同じ顔ぶれ。以下、「裕子」2,876人、「京子」2,526人、「恵子」2,472人、「久美子」2,470人の順。

上場企業の女性社長(代表執行役を含む)は30社(判明分、2015年12月現在)だった。産業別では、最多が大塚家具や日本マクドナルドホールディングスなど「小売業」とトレンドマイクロやネットイヤーグループなど「情報・通信業」の各6社、次いで、化粧品メーカーを含む「化学」の5社と続く。増勢が目立つ女性社長だが、上場企業での割合は全体の1%にも満たず、今のところ中小企業や個人事業が中心になっている。