栃木県栃木市にある「岩下の新生姜ミュージアム」をご存じだろうか。ショウガの酢漬け「岩下の新生姜」でおなじみの岩下食品が展開する展示施設だが、ピンク色で統一された館内のカラーリングや、「世界一大きな新生姜ヘッド」などの巨大装飾、語感以外は特にショウガと関係がない「ジンジャー神社」、かわいいアルパカのぬいぐるみが置いてある「アルパカ広場」など、斬新な館内設備やアトラクションで注目を集めた。
2015年6月20日のオープンから間もなく1年を数えようという6月14日、東京・渋谷に「岩下の新生姜ミュージアム」がカフェとして上陸するというので、店の様子をのぞいてきた。
約100体のアルパカがお出迎え
今回渋谷にオープンしたのは、「岩下の新生姜ミュージアム CAFE」。渋谷ロフト2階のオープンスペース「渋谷シティラウンジ」にて、6月14日18:00から7月13日23:00までの期間限定で展開される。
やはり気になるのは内装だ。カフェの入り口には、「岩下の新生姜」を模した高さ約150cmのオブジェが「welcome!」というプレートを持って(?)立っている。これは、「岩下の新生姜ミュージアム」でも見られる造形だ。ほんのりピンク色に染まった「岩下の新生姜」をかなり正確に再現しているのだが、筆者はどうしても一瞬「モモイロサンゴかな?」と思ってしまうのだった。
店内に足を踏み入れると、大きなアルパカのぬいぐるみが迎えてくれた。身に着けている、「岩下の新生姜」「NEW GINGER MUSEUM」と書かれた前かけもかわいい。桃色の体色は、言うまでもなく「岩下の新生姜」をイメージしたものだろう。
カフェの中心部にはひときわ大きなアルパカが2体ディスプレーされており、どことなく「ジンジャー神社」でこま犬の代わりにご神体(ご神体も「岩下の新生姜」である)を守っていた2体の鹿「IWASHIKA(イワシカ)」をほうふつさせる。そして2体のアルパカが腰を下ろすアクリルケースには、約40体の小さなアルパカがすし詰めになっていた。
さらに、天井に目を移すと、無数のアルパカがつり下げられているのが見える。「とんでもないところに迷い込んでしまった」という気持ちが一層強くなった。聞けば、約100体のアルパカを飾っているそうだ。
しかし、大掛かりな装飾といえばたくさんのアルパカくらいで、あとはバーカウンターやテーブル席など、普通のカフェと変わらない設備。「岩下の新生姜ミュージアム」にあるような派手なアトラクションなどは、他には見られなかった。"あくまでカフェ"ということだろうか……。
メニューは渋谷オリジナル
内装の次は、「岩下の新生姜ミュージアム CAFE」で味わえる飲食メニューを紹介しよう。同店の営業時間は11:00~22:00で、11:00~16:00がランチタイム、16:00~22:00がディナータイムとなっている。栃木の「岩下の新生姜ミュージアム」でも飲食メニューを提供しているが、「岩下の新生姜ミュージアム CAFE」では、同店のオリジナルメニューを展開する。
ランチタイムには、「岩下の新生姜スペシャルプレート」(1,000円)を提供。「新生姜豚バラ肉巻」「白身魚の新生姜挟み竜田揚げ」「岩下プチおかず3点(オリーチェ・ちくわのくるくる巻き・新生姜)」「新生姜とオニオンジンジャースープ」にグリーンサラダとライスを盛り合わせたワンプレートセットだ。1品で、「岩下の新生姜」を1袋分(80g)摂取できるという。セットドリンクとして、コーヒーやウーロン茶などのソフトドリンク各種を選択可能だ。
ディナータイムでは、「黒豚バラ肉角煮 うずら卵の岩下漬け添え 北京ダック風」(1,000円)と「豆腐とサーモンのジュレかけ 新生姜添え」(700円)を提供。がっつりとした肉メニューと、サラダ風のメニューを選べるのがうれしい。もちろん両メニューとも、「岩下の新生姜」をたっぷりと使用してる。
また、「岩下の新生姜」を添えたハイボール「ニュージンジャーハイボール」(550円)も、1日を通して提供する。「岩下の新生姜」をかじりながらハイボールを飲むのがオススメの味わい方だそうだ。アルコールメニューの提供は栃木のミュージアムでは行っていないので、同店を訪れた際にはぜひ試してみたい。
大胆な装飾は「楽しんでもらう」ため
それにしても気になるのが、先ほども紹介した意外と控えめな内装だ。「岩下の新生姜ミュージアム CAFE」のオープニングセレモニーに駆けつけた岩下食品代表取締役社長の岩下和了氏に、同店について聞いてみた。
――まず、栃木の「岩下の新生姜ミュージアム」の内装の意図について教えてください
「岩下の新生姜ミュージアム(以下、ミュージアム)」のそもそもの目的は、多くの企業ミュージアムと同じく「当社のこだわりを知ってほしい」ということです。例えば当社では、台湾のみで栽培される特殊な生姜「本島姜(ペンタオジャン)」を使用しています。柔らかく辛みの少ない品種で、国内ではほとんど当社しか扱っていません。
こうしたこだわりを知ってもらいたいのですが、ただの展示では栃木まで足を運んでもらえません。そこで、ミュージアムそのものを楽しんでもらえるようにしたいと考えました。そして用意したのが、ミュージアムの多彩なコンテンツです。「交通の便がいい」とは言えない立地にありますから、来館していただいた方にファンになってもらえるような工夫をこらしました。
そのかいもあってか、「岩下の新生姜」の購買層は50歳以上のお客さまが約7割を占めていますが、ミュージアムの来館層はその逆で、50歳以下の若い方が7割近くなっています。
――渋谷にカフェを出店した理由についても教えてください
2015年に「岩下の新生姜ミュージアム」がオープンしたとき、インターネット上で多くの方に話題にしていただきました。実際に来館してくださった方もいらっしゃいましたが、やはり立地上の問題もあり、「行きたくても行けない」という方もいらっしゃいました。そんな方々にも、「岩下の新生姜ミュージアム」の一端を体験していただきたい、と考えた次第です。
――カフェの内装でこだわった点はありますか?
栃木のミュージアムと同じく、「不思議で楽しい感じ」を意識しました。かわいいアルパカはミュージアムにも用意していますが、「岩下の新生姜」とは何の関係もありません(笑)。ほんわかとした気持ちを演出し、訪れた方に楽しんでいただければ、と思っております。
――ミュージアムと比べると、やや控えめな内装に見えますが……
店舗面積が限られており、「ロフト」内のオープンスペースということもあって、ミュージアムほどの思い切った装飾を施すことは残念ながらできませんでした……。しかし、その分、たくさんのアルパカにカバーしてもらっています。
――ありがとうございました
おみやげと記念撮影も忘れずに
「製品のこだわりを楽しく知ってほしい」という思いが宿った「岩下の新生姜ミュージアム CAFE」。内装は「ミュージアムの完全再現」とはいかなかったが、「訪れた人に楽しんでもらいたい」というおもてなしの精神は、ミュージアムにも同店にも同じだけ込められている。
また、ミュージアムで人気のおみやげも、同店では購入可能だ。ネット上で話題を呼んだ「岩下の新生姜ペンライト」(2,160円)も、もちろん販売されている。「ジンジャー神社」に設置されている「お守りガチャ」も体験可能だ。
さらに、ミュージアムのように世界一大きくはないが、実際にかぶれる「新生姜ヘッド」も用意。「岩下の新生姜」の世界をその身で感じられる。
また、店舗入り口の脇には、フォトスポットでもあるポスターが掲示されている。訪れた際には、ここで記念撮影して友達に自慢しよう。
期間限定の「岩下の新生姜ミュージアム CAFE」。ひとたび足を踏み入れれば、その世界のとりこになってしまうこと間違いなしだ。休日のランチや、仕事終わりの"ちょい飲み"にも立ち寄ってみたい。
※記事中の情報・価格は2016年6月取材時のもの。価格は全て税込