米Appleは米国時間の6月13日、開発者向け会議「WWDC 2016」の基調講演において、次期iOS「iOS 10」を発表した。このなかで紹介された新機能のうち、本稿では「メッセージ」アプリについて詳しく紹介する。現在も広く使われているメッセージだが、iOS 10では並みいる定番メッセージングアプリに真っ向から対抗する強力な機能を多数追加する。

米Appleは、WWDC 2016の基調講演で「iOS 10」を発表。「メッセージ」アプリの機能拡充について紹介した

表現力が大幅に向上、開発者へ開放も

iOSのメッセージは、Appleのメッセージングサービス「iMessage」と、携帯電話のSMS/MMSが統合されたアプリだ。いわゆるキャリアメールの送受信用に使っているユーザーが多いと思われるが、Apple IDを使ったiMessageサービスも人気が高く、AppleによればiOSで最も多く使われるアプリなのだという。

今回は正確な数字は提示されなかったが、毎日数億通のメッセージがこのアプリで交わされているという

現在のiMessageは吹き出し内にメッセージが固定サイズのテキストで表示されるだけ。メッセージに画像や動画、音声などを貼り込むことはできるが、LINEのようなスタンプはなく、表現力という点では最近のメッセージングアプリと比べると、だいぶ見劣りしている。

iOS 10ではURLリンクがリンク先のイメージを含むリッチなものになるほか、発言の吹き出しを送る際に、叩きつけたり、勢いよく吹き出しが膨らむようなエフェクトをつけられるようになる。

URLの表示がリッチなイメージに。さらにApple Musicの曲を貼ることもできる。登録ユーザーでなくてもある程度は聴けるようだ

吹き出しに加えられるエフェクトは4種類。それぞれに見合ったシチュエーションで使い分けたい

相手の発言に対してサムズアップやハートマーク、「!」「?」といったアイコンをつけられる「タップバック」機能も搭載。入力の手間をかけることなく即座にレスポンスを返すことができる。発言内容の喜怒哀楽に合わせてエフェクトを付けることで、発言のニュアンスを伝えられるようになったと言えるだろう。

「いいね!」ボタン的な使い方ができそうな「タップバック」機能

また、文章入力中に絵文字キーボードに変更すると、絵文字に置き換えられる単語の色が変わり、ワンタッチで絵文字に変換できる機能がある。絵文字に直接変換しながら入力するよりも効率良く入力できそうだ。

絵文字だけの発言の場合は、従来比で3倍のサイズに表示されるようになり、見やすさもインパクトも向上している。さらに手書き入力や、Apple Watchで採用されたDigital Touchもサポート。手書き派にはこちらも楽しみだろう。

インパクトという点では、発言全体をぼかして見えなくしたり、画面の背景全体に表示できるフルスクリーンエフェクトも面白い。後者は大量に飛んでいく風船や紙吹雪、花火などド派手なエフェクトが揃っており、こちらも気分を盛り上げるのに役立ちそうだ。

海外で絵文字ブームということもあってか、会場からのウケが非常に良かった機能のひとつ。日本人には不思議な感じもする

ここまで大きく表示されるので、スタンプ的に使っても面白い

古いガジェット好きなら「テガッキー」という単語を思いだしそうなDidigal Touch対応

モヤモヤと隠れている発言はスワイプしないと表示されない。画像に同じエフェクトをかけることもできる

エフェクトは数秒しか表示されないがド派手そのもの。こちらも人気が出そうだ

「メッセージ」アプリ内からほかのアプリを呼び出すことも可能となった。たとえば画像編集アプリで作った画像をメッセージに添付する場合、従来は一度アプリを切り替えて画像を編集し、完成した画像を「写真」アプリに保存してメッセージ内から呼び出すか、コピー&ペーストするのが通例だったが、メッセージ対応アプリならアプリを切り替えずに直接メッセージ内で編集できる。

この仕組みを使って、スタンプも実装できるようで、App Store内のiMessage対応アプリコーナーで販売するようだ。LINEのスタンプではスタンプ長者という言葉も登場したが、世界を相手に再びスタンプ作成ブームが起きるかもしれない。

日本ではLINEの隆盛であまり話題に上がらない、Apple純正のメッセージアプリだが、iOS 10では大幅な強化が施され、再び見直されることになりそうだ。

左から3番目のボタンをタップするとアプリドロワーが表示され対応アプリが並ぶ

ネットを使った送金サービスも「メッセージ」内で行える

デモで紹介されたスタンプはいずれもアニメーション付きだったので、動くスタンプが標準になるのかも