俳優の佐々木蔵之介が14日、都内で行われた主演舞台『BENT』記者発表会に、共演の北村有起哉、演出の森新太郎とともに登場した。また、タレントのミッツ・マングローブがゲストMCを務めた。

左から森新太郎、佐々木蔵之介、北村有起哉

同作は1930年代中頃のドイツを舞台に、ナチスによって迫害されていたセクシャルマイノリティの受難と愛を描く物語。1978年に上演され、同性愛者を表現した世界で初めての演劇作品と言われており、日本でもこれまで役所広司、椎名桔平など様々な俳優によって演じられている。

佐々木はあまりの内容の深さに、一度は「ダメ、できない」と、断ることを考えたという。また北村も「台本を読むたびに泣いちゃって、最初の本読みでも泣いちゃって」と語り、「演じてる時は泣いちゃダメです。泣かないように頑張らないと」と意気込んだ。

2人は役の上で恋人同士となるが、佐々木は「本読みの段階ですら有起哉が愛おしく見えてきた」と明かす。今までも北村と共演してきたが「以前は愛おしさは全くなかった」と言い、今は稽古着を散らかしているだらしない感じも「いいかなと思えてきた」と、すでに役に入っている様子。MCを務めたミッツは「実地体験が必要でしたら言ってください」と佐々木にメッセージを送った。

また演出の森は、12日にアメリカ・フロリダで起きた銃乱射事件にも触れ「社会の不寛容さがある以上、演じ続けられる意義はある作品だと思う」と作品についての思いを表す。さらに森は「外国の作品は、『差別もあるけど、跳ね返す』ということを見せるけど、日本はそもそも"ないもの"のように見せるのが息苦しさだなと感じていて。演劇はTVで公になるわけではないし、砦になりたいです。お客さんもそんなヤワではないし、観たら観たで考えてくれると思う」と、観客へ信頼を寄せた。