米Appleは6月13日(現地時間)、米サンフランシスコで始まった開発者カンファレンスWWDC 2016(6月13~17日)で、Mac用プラットフォームのメジャーアップグレード「macOS Sierra」を発表した。SierraからMac用プラットフォームの名称が「OS X」から「macOS」に変更される。これはiOS、watchOS、tvOSとの呼び方の統一をはかった改称だ。Sierraでは、Continuity機能が拡充され、またMacでもSiriやApple Payを利用できるようになる。他にも「Optimized Storage」「Tabs」「Picture in Picture」といった数多くの新機能を備える。13日からDeveloper Previewの提供が始まり、7月にパブリックベータを開始。最終版は今秋にリリースされる。

ContinuityはMacとiOSデバイスの連係を実現する機能だ。たとえば、iPhoneで書き始めたメールの続きをMacで仕上げたり、iPhoneにかかってきた電話をMacで受けるというようなことが可能だ。Sierraでは以下のようなContinuity機能も利用できるようになる。

  • Auto Unlock:認証済みのApple Watchを装着していたら、自動的にMacがアンロックされる。
  • Universal Clipboard:クリップボードにコピーしたテキスト/画像/ビデオなどを別のデバイスに貼り付けられる。
  • デスクトップと書類へのアクセス:Macのデスクトップと書類フォルダ内のファイルがiCloud Driveに自動保存され、iOSデバイスや他のMacからアクセスできる。
  • Apple Pay in Safari:対応しているWebサイトでは、MacのSafariでApple Payを使用できる。支払いの際にApple Payボタンをクリックし、iPhone(Touch ID)またはApple Watch(サイドボタンのダブルクリック)で完了させる。

Apple WatchでMacを自動アンロック

iPhoneでコピーした画像をMacでペースト

Macのデスクトップと書類フォルダのファイルにiCloud Drive経由でアクセス可能に

MacのSafariで、Apple Payを使って支払い

SiriはDockまたはメニューバーからアクセスするか、キーボードショートカットを使って呼び出す。情報の検索、ファイル検索、メッセージ送信といった様々な音声アシスタントをサポートする。写真のようなアイテムはSiriの検索結果からドラッグ&ドロップでドキュメントやメールなどに追加でき、またスポーツのスコアや株価といったSiriで検索した情報をピンして、通知センターで確認できるようにすることも可能だ。

Siriに「先週開いたファイルを見せて」と頼み、さらに「Marcが送ってくれたものだけ」と頼んで絞り込み

Siriに「今週のジャイアンツのホームゲームを表示して」と頼み、結果を通知センターにピン留め

Optimized Storageは、Macの内蔵ストレージが足りなくなった際に空きスペースを作る機能だ。ほとんど使用しないファイルをiCloudに移すか、不要なファイルや全く使用しないファイルを削除する。Tabs(タブ)は、SierraではSafari以外でも、マップ、Mail、Pages、Numbers、Keynote、TextEdit、さらにサードパーティのアプリケーションでも利用できるようになる。Picture in Pictureは、SafariまたはiTunesのビデオ再生部分を切り離して、デスクトップやフルスクリーンアプリの上に配置しておける機能。

標準アプリケーションでは、写真アプリに「Memories」という機能が加わる。人、場所、イベントなどを基に、たとえば旅行や誕生会といったコレクションおよびスライドショーを自動的に作成する。また画像分析に基づいた検索が可能になる。タイトルなどにテキストが含まれていなくても、「バースデーケーキ」「ビーチ」といった写真に写っているオブジェクトや風景を入力して検索できる。メッセージは、絵文字を拡大表示したり、友達のメッセージ・バブルにハート・マークやサムアップ・マークを付けるなど、豊かな表現が可能になる。またビデオ再生やリンクのプレビューもサポートする。iTunesは、Apple Musicのデザイン刷新が行われる。

写真アプリの新機能「Memories」

絵文字を大きく、「ティラミスを持っていくよ」というメッセージにハート・マーク