米Amazon.comが、「単体で契約可能」なインターネット音楽ストリーミングサービスの提供に向けて動いているという話が出ている。同社は2014年にAmazon Primeの会員価格引き上げを発表したが、このタイミングで同会員に対して聴き放題の音楽ストリーミングサービス「Prime Music」の提供を開始している。新サービスの月額料金は9.99ドルを見込んでいる模様で、先行するSpotifyやApple Musicに対抗する構えだ。
今回の件は関係者の話としてReutersが報じている。Amazon.comはもともと「Amazon MP3」の名称でDRMフリーの楽曲オンラインストレージ兼ダウンロードサービスを提供していたことで知られている。これをAmazon Cloud Playerのアプリと組み合わせることで手元に楽曲がなくてもクラウド上の楽曲をストリーミング再生することが可能だったが、あくまでも購入済みの楽曲が対象であり、いわゆるサブスクリプション型の月額一定料金で聴き放題となる「音楽ストリーミングサービス」とは違っていた。音楽ストリーミングサービスとしての「Prime Music」は現在、Amazon Prime会員のみに開放されており、同社のPrimeサービステコ入れ策の一環として認識されている。
噂されているストリーミングサービスはAmazon Primeとは別枠で、非Prime会員も単体契約が可能なサービスとみられ、価格も先行するライバルに準じた設定だ。現在、競合と比較しても充実した楽曲カタログを提供するためにメジャーレーベルとの契約を完了させつつあり、今夏の終わりから初秋にかけてサービス提供が開始される見込みだという。同社がこうしたサービスの拡充に力を入れる理由の一つに、スタンドアロンで動作する音声制御スピーカー装置「Amazon Echo」のプロモーションがあるといわれる。認知型(Cognitive)サービスを組み合わせた音声アシスタントはGoogleが「Google Home」を先日発表し、AppleはSiriを強化する形で組み込んだ独自のデバイスの発表準備を進めているという噂がある。囲い込みを主眼としたPrimeだけではライバルに対抗するのは難しいとの判断なのかもしれない。