2016年6月8日(現地時間、日本は9日早朝)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14361を、Fastリングを選択したPCおよびモバイルデバイス向けにリリースした。Microsoft Edgeの拡張機能周りやWindows Ink、「設定」などの改善が加わっている。そして公式にHyper-Vコンテナーに関するアナウンスが行われた。そしてバージョン番号として「バージョン1607」が付けられている。

Hyper-VコンテナーサポートやUbuntuの互換性の向上

前回のWindows 10 Insider Preview ビルド14352から数えると約2週間ぶりとなる本ビルドだが、筆者が関心を持つのはHyper-Vコンテナーの導入を公式ブログでアナウンスしている点である。筆者が確認した限りでは、ビルド14328からサポートし、5月末には使用するためのドキュメントが公開されていた。

Power Shell上でWindows用Dockerをインストール中

Dockerはサーバーアプリケーションなどの展開を自動化するためのOSS(オープンソースソフトウェア)である。アプリケーションを実行するだけなら一般的な仮想マシンでも十分と考えがちだが、サーバーの環境を汚さないと同時に、必要に応じてコンテナーを起動するスタイルはDaaS(Desktop as a Services)に近い。Windows 10の場合、Hyper-VおよびHyper-Vコンテナーを有効にすることで、Windows Server 2016 Technical Preview 5 Nano Serverを実行することが可能だと、先のドキュメントで説明し、筆者も実際に稼働させることに成功した。基本的には開発者向け機能だが、今後Microsoftがどのように環境を整備するかによって、その利便性は大きく広がりそうだ。

必要なOSイメージを展開し、Windows Server 2016 Technical Preview 5 Nano Serverを走らせてみた

Windows 10上で異なるOSが動作するという点では、BUW(Bash on Ubuntu on Windows)の存在も大きい。既報のとおり今年の開発者向けカンファレンス「Build 2016」の目玉機能だったが、ビルド14361では大幅な改善が行われたと別の公式ブログで説明している。こちらのリリースノートを見ると、大文字/小文字の区別やpty(pseudo-terminal)/ttyがサポートされたことが分かる。他の修正内容やシステムコールのサポート状況を見ると、UbuntuをWindows 10上で実行する際の互換性は着々と向上しているようだ。

BUW上でTmuxを起動した状態。ウィンドウを分割し、異なるコマンドを実行してみた