画像と本文は関係ありません |
妊娠した際の気になる体の変化の一つに、妊娠線があります。そもそも妊娠線とは何なのか、妊娠線ができないよう予防はできるのか……?
今回は妊娠線について、En女医会メンバーの産婦人科医の十倉陽子先生に聞いてみました。
妊娠線は皮膚に入る亀裂
――そもそも妊娠線とは何なのでしょうか?
妊娠線とは、簡単に言うと「妊娠の時に皮膚にできる線状の割れ目のこと」を指します。
皮膚の下には真皮、皮下組織があります。妊娠によって急激に皮膚が引き伸ばされ、ホルモンの影響も受けることで、皮膚の表面がある程度伸びます。が、その際皮膚の中の組織が壊されてしまいます。そうしてできるのが妊娠線なんですね。
――妊娠線はどこにできるのですか?
やはりお腹が多いですね。おへそ回りから下腹部にかけてという人が一番多いです。他にも、お尻、胸の下側、太もも、お尻などにできる方もいらっしゃいます。
――なるほど、妊娠線のできる場所も個人差があるんですね。妊娠線はどれくらいの時期にできやすいのですか?
一番多いのは妊娠6カ月頃からですね。急激にお腹が大きくなり始め、赤い亀裂のようなものが見え始めます。初産婦の約43%、経産婦の約57%の方にできると報告されています。
妊娠線は消えることはない
――では、妊娠線ができてしまった場合、消すことはできるのでしょうか?
残念ながら、妊娠線は一度できてしまうとなくなることはありません。出産してからしばらくすると、最初は赤かった線がピンク色へ、そして白へと変化していきます。完全に消すことはできませんが、色が薄くなることでほとんど目立たなくなりますよ。
――では、妊娠線を予防する方法などはあるのでしょうか?
残念ながら、ありません。たくさんのクリームなどが販売されていますが、医学的に妊娠線自体の予防効果が認められたものはないんです。ただし予防策をとっていた妊婦さんは心理的に妊娠中のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)が高くなったという報告はあります。心理面で妊婦の支えになってくれる効果はありそうです。
妊娠線ができやすいのは比較的若い人?
――妊娠線ができやすい条件はありますか?
妊娠時の年齢が比較的若い方、赤ちゃんの体重が重い方は妊娠線ができやすいです。また、出産時の週数が進んでいる、妊娠中の体重増加が大きい、妊娠線の家族歴があるといったことも条件として挙げられますね。
妊娠線に関しては、医学的に立証されている予防法もなく、個人差も大きいです。絶対に妊娠線を作りたくないと思っても、それはなかなか難しそうです。
ですが、妊娠線は赤ちゃんを産んだ勲章のようなものです。妊娠中は赤くて目立ちますが徐々に白くなりあまり目立たなくなってきますので、気にしすぎないようにした方がいいかもしれませんね。
――ありがとうございました!
プロフィール
十倉 陽子
主に生殖医療に携わっている産婦人科専門医。英ウィメンズクリニック勤務。150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加するEn女医会に所属している。En女医会は、会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。医療分野での啓発活動を積極的に行っている。