韓国のSamsung Electronicsが"折りたたみ可能"なスクリーンを搭載した2種類のスマートフォンを開発中で、早ければ来年2017年2月にスペインのバルセロナで開催されるMobile World Congressにおいて、そのうちのいずれか1種類、または両方を発表する計画だという。通常は5インチサイズの比較的持ち運びやすいサイズのスマートフォンが、本体を展開することでスクリーンが8インチサイズにまで拡大し、コンテンツやサービスを大画面で楽しむことが可能になるようだ。

Samsungが2013年に公開した折り曲げ可能なスマートフォンのコンセプト

同件は米Bloombergが関係者の話として報じている。ディスプレイ技術には有機EL(OLED)が用いられ、AMOLED方式ディスプレイで多彩なスマートデバイス群を市場投入しているSamsungの製品バリエーションをより拡大するものとなる見込みだ。なお、この2つの製品は「Project Valley(谷)」の名称で呼ばれており、デバイスの仕組みや用途を象徴するものとなっている。過去2年、Samsungは同社スマートフォンのフラッグシップである「Galaxy S」シリーズをMWCのタイミングで発表することが続いているが、おそらくはProject ValleyはSシリーズとは異なる製品展開になるとみられる。

この折り曲げや展開が可能なスマートフォンがどのような形状になるかは不明な部分が多いが、ヒントの1つは同社が2013年に公開した広告プロモーション用の動画が参考になるだろう。一見すると普通のタッチ型スマートフォンではあるが、本体を広げるとより大きなサイズのディスプレイが出現する仕掛けとなっている。「折り曲げ可能」というコンセプトでOLEDを採用した曲面ディスプレイがすでに長年にわたって他のメーカーも含め多数技術展示会で紹介されているが、今回のスマートフォンはそれとは若干異なるとみられる。自発光型のデバイスとはいえ、OLEDで完全に"折り目"をつける形での「折り曲げ可能」をアピールしたデバイスはまだ登場していない。おそらくはProject Valleyのコンセプトが示すように、2枚のディスプレイを継ぎ目が目立たない形で違和感なくつなぎ合わせることで、いわゆる「折り曲げ可能」なスクリーンをアピールするのではないかと考えられる。

このほかBloombergでは、今年2017年8月末~9月初旬に発表が見込まれる「Galaxy Note」の新製品が「Note 7」の名称を冠すことにも触れている。現行モデルは「Note 5」であり、順当にいけば次モデルは「Note 6」となるはずだが、現在リリースされているフラッグシップの「Galaxy S7」とナンバリングを合わせるのが目的とのことだ。いずれにせよ、2017年はiPhoneにもOLED搭載モデルが登場するという噂が出ており、来年以降にかけてスマートフォンでのOLED採用が広まる気運が高まっている。問題は製造能力の部分だが、各社がiPhoneでの採用に向けて量産体制に入っており、コスト面でも液晶ディスプレイを下回る可能性が出てくるなど、競争上優位な条件が整いつつある。