自動運転にはクルマをとりまくセンサ群が必要

ドライバーなしで自動運転するためには、図4に示すように、レーダー、レーザー、ビデオカメラ、超音波などを活用したさまざまなセンサを装備する必要がある。そして、クルマを多数のセンサでつつみこんで、3次元で360度全方向を感知するようにしなければならない。これらのセンサはすべて半導体をベースにした技術である。

図4 自動運転に必須の多様なセンサネットワーク:クルマを取り巻く環境を3次元で360度認識できるセンサ網の開発が要求されている (出所:Audi)

半導体への要求や挑戦は山積み

自動運転の実現に向けて、センサを含め、半導体には次のような要求がある。

  • 限られたスペースにもっと性能を詰め込むためにさらに集積化が必要である
  • パッケージレベルで3次元実装を行い、システムソリューションを提供する必要がある。
  • 新しいメモリが必要である。例えば、ハイブリッド・メモリキューブ(HMC)や3次元NAND型フラッシュ・メモリなど
  • 半導体はクルマの寿命が尽きるまで高性能かつ高信頼を維持する必要がある
  • システムコストの低減に努める必要がある
  • 半導体不良解析の新たな手法を開発しなければならない
  • 新たな責任(例えば自動車向け機能安全規格 ISO26262)を持った新たな半導体メーカーの参入を支援する

半導体メーカーとの協業で革新を促進する

Audiでは、図5に示すような「Progressive SemiConductor Program(PSCP)」という半導体への要求とそのクルマへの適用に半導体メーカーをパートナーとして同じ目線で取り組むプログラムを実施している。

図5 Audi Progressive SemiConductor Program (出所:Audi)

Hellenthal氏は「従来からのAudiとTier 1のパートナーシップに、半導体メーカーを加えて、三位一体体制のシナジー効果で、新たな潜在能力を引き出して、半導体を活用したクルマのイノベ―ションを実現したい」と述べ、「戦略的協業で、信頼性を犠牲にすることなく、イノベーションのスピードをあげ、品質をあげ、さらには新たなビジネスモデルを構築したい」と話を結んだ。

図6 AudiとTier 1と半導体メーカーの三位一体体制