東京商工会議所はこのほど、「新入社員意識調査」の結果を発表した。調査は3月31日~4月12日、同商工会議所開催の新入社員研修を受講した中堅・中小企業の新入社員を対象に行われ、929名の有効回答を得た。
59.9%が「就職活動は順調だった」と回答
はじめに、就職活動は順調だったか尋ねたところ、約6割が「順調だった(22.5%)」「ほぼ順調だった(37.4%)」と回答し、リーマン・ショック後初めて、2009年度の割合(53.6%)を超えた。また、6年連続で改善傾向にあり、厳しい状況が続いていた大卒でも改善傾向が顕著に表れる結果となった。
やりがいよりも「安定性」を重視
次に、入社した会社を選んだ理由について答えてもらったところ、「仕事の内容がおもしろそう(49.8%)」「自分の能力・個性が活かせる(47.7%)」「職場の雰囲気が良かった(46.0%)」がTOP3となった。昨年度と比較すると、全体的に顕著な変化は見られなかったものの、2010年度から「安定性がある」が増加(22.1%→29.0%)し、「仕事の内容がおもしろそう」が減少(55.1%→49.8%)傾向に。学生が企業や仕事を選びやすい環境になっている中、仕事の内容ややりがいよりも、自分が働きやすい環境の中で、安定的に働けることを重視する傾向が見受けられた。
続いて、就職活動~入社までに参加・経験したものを調べた結果、多くの人が「人事・役員面接(80.2%)」や「自社での会社説明会(65.6%)」に参加する一方、「インターンシップ(13.1%)」や「座談会(12.8%)」、「OB・OG訪問(8.6%)」といった、学生が企業側へ質問するような双方向のやり取りが可能なイベントに参加する人は1割程度と、非常に少ないことがわかった。
また、「内定者懇談会(39.7%)」や「内定者研修(27.4%)」と回答した人も割と多かったことから、内定辞退の増加が危惧される中での、内定後のフォローを手厚くしようという企業側の努力がうかがえた。
就職活動は後ろ倒しの傾向に
次に、就職活動の開始と内定の時期について調査したところ、7割以上が2015年3月以降(61.4%→75.3%)に就職活動を開始していることが判明。また、選考開始の8月1日以前に内定を得た割合は減少(42%→27%)し、10月以降の内定が増加(36.6%→45.6%)。全体として就職活動は後ろ倒しの傾向が顕著に表れる結果となった。
この影響は特に大学で著しく、就職活動を2014年12月末までに開始した割合は、「文系(50.8%→14.5%)」「理系(35.9%→12.3%)」ともに減少。また、内定を7月末以前に得ている人の割合についても、「文系(43.8%→26.2%)」「理系(50.3%→37.1%)」と、いずれも大幅な減少となった。
今の会社でいつまで働くか「特に考えていない」が増加
最後に、今の会社でいつまで働きたいと考えているか尋ねたところ、「定年まで」(34.9%)が上位で昨年度までの傾向と変わりがないが、「特に考えていない」(38.2%)は2014年度より3年連続で「特に考えていない」が微増しており、特に女性(44.7%)で顕著だった。「チャンスがあれば転職」(11.3%)はほぼ変わりがなかった。