説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『App Storeにあるはずのアプリが表示されません!?』という質問に答えます。
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友人のiPhoneでは表示されるアプリが自分のところでは表示されない……ひょっとして、友人の方が利用しているiPhoneはiPhone 5s以降で、あなたが利用しているのはiPhone 4SまたはiPhone 5ではないでしょうか? 開発者によるアプリ公開地域の制限でないとすると、そのアプリが32ビットCPUをサポートしていない可能性大です。
2015年6月以降、新たにApp Storeへ出品申請するiOSアプリは64ビット対応が義務化されました。64ビット対応していないアプリは申請を却下されるため、新規公開はもちろんアップデートすら認められません。ただし、2015年6月以前に公開されていた32ビットアプリは制約を受けないため、そのままApp Storeで公開されていることもあります。
64ビット対応の義務化は、32ビットCPUを搭載するiPhoneの“いますぐの切り捨て”を意味しません。アプリには32ビットプログラムと64ビットプログラムの両方を格納でき、iPhone 4SやiPhone 5では32ビットプログラムが実行されるからです。
しかし、32ビットCPUでは意図した性能を発揮できないとアプリ開発者が判断すれば、アプリの動作対象を64ビットCPU搭載モデルに限定することも可能です。アプリが動作対象外とするCPUを搭載した端末は、App Storeにあるそのアプリの紹介ページを表示できません。検索してもヒットしないため、そのアプリが存在しないように見えてしまうのです。
今後iPhoneに搭載されるCPUは64ビットと考えられることからしても、残念ながらiPhone 5以前のiPhoneで動作するアプリは徐々に減少していくことでしょう。世間のアプリに対する要求水準は上がる一方で、今後より高い演算能力と描画性能が求められることは確実ですから、これも“時代の波”と諦めるしかなさそうです。