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赤ちゃんを望むなら、男の子がいい? それとも女の子? 「元気に生まれてくれるなら男の子でも女の子でも」という思いがありつつも、うみ分けができればと思う人もいるでしょう。実際に、うみ分けはできるのでしょうか。今回、En女医会の産婦人科専門医・船曳美也子先生にお聞きしました。

膣内のpHで男女が決まる?

ーー子どもが男の子になるか女の子になるかは、どう決まるのですか?

卵子は、もともとXの染色体を持っています。精子にはX染色体を持つものとY染色体を持つものがあって、XYという組み合わせになった場合は男の子が、XXという組み合わせになった場合には女の子がうまれます。

ーーそれぞれの染色体には特徴があるのですか?

あります。X精子には、酸性に強くアルカリ性に弱い特徴があります。Y精子は逆にアルカリ性に強くて酸性に弱い傾向にあります。確実とは言えませんが、膣内が酸性だと、酸性に弱いY精子は生き残る確率が低いので女の子がうまれやすく、膣内がアルカリ性だと男の子がうまれやすいと言われています。

ーー膣内のpHは変わるのですか?

はい。通常、膣内は雑菌の侵入を防ぐため、酸性に保たれています。ですが、排卵日前後には膣内のpHもアルカリ性に近づいてくる傾向があります。また、性行為の最中に、膣内のpHが変わることもあります。このようにpHが時期や時間によって微妙に変化するので、非常にデリケートな問題なんですね。

性交渉のタイミングでうみ分けが可能?

ーーでは、性交渉のタイミングでうみ分けができなくもない、ということでしょうか?

そうですね、確実にできるとは申し上げられませんが、「男の子がほしい場合は、膣内がアルカリ性になる傾向がある排卵日当日にタイミングを持ったほうがいい」と言われていますね。

「女の子がほしい場合には、膣内が強めの酸性になりがちな排卵日の2~3日前にタイミングを持ったほうがいい」と言われています。X精子はY精子よりも寿命が長いと言われており、排卵日の前でも大丈夫と考えられます。

確実ではないものの、医学的にうみ分けをする方法も

ーー医学的にうみ分けをする方法もあるのですか?

まず、自然妊娠を望まれる場合には、ゼリーをご紹介しています。市販されているものもあります。これは、性交渉の前に膣内に挿入することで、膣内を酸性もしくはアルカリ性にかたむけるためのゼリーです。男の子がほしい場合はグリーンのゼリーを、女の子がほしい場合はピンクのゼリーを使います。

ーー自然妊娠ではない場合にはどんな方法がありますか?

「パーコール法」という精子選別うみ分け法があります。不妊治療をしている病院で、うみ分けの人工授精・体外受精の時に使われる方法です。自然よりも妊娠率を上げて、さらにうみ分けを希望する場合に行われます。

X染色体とY染色体の重量を計測すると、少しだけX染色体のほうが重いことがわかっています。その重量の違いを利用する方法なんです。精液をコロイドシリカゲルという幾層かの異なる密度の液体に入れて、遠心分離機にかけることで染色体をXとYに分けます。下のほうにたまったであろう重いX染色体を使って人工授精すると、女の子がうまれやすくなる、というものです。

ーーそのパーコール法でのうみ分けは確実なのでしょうか?

いえ、精子の見た目だけではXなのかYなのかはわからないので、確率はおよそ70~80%です。自然妊娠での確率が50%なことを考えると、高めと言えますが、100%確実ではありません。

ーーありがとうございました!

■プロフィール
船曳美也子

1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、認定産業医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚で43歳で妊娠、出産という経験を持つ。En女医会にも所属している。