「Bean to Bar(ビーン トゥ バー)チョコレート」をご存じだろうか。チョコレート製造で、"Bean(カカオ豆)"から"Bar(板チョコレート)"までという意味だが、この「Bean to Bar」が最近日本でも認知されるようになったという。そして6月1日、この「Bean to Bar」を実践するチョコレートブランド「Minimal」が銀座3丁目に新店舗をオープンする。「Bean to Bar」の全容を確かめるべく、同店に足を運んでみた。
そもそもBean to Barってなんだ?
「カカオ豆からチョコレートまで作ること……ってそこまで珍しいものなのか?」と思う人もいるだろう。「Bean to Bar」は、カカオ豆を自分たちで仕入れ、自身の店舗で焙煎、カカオ豆の中の「カカオニブ(チョコレートのもと)」を取り出し、それを砕いてペースト状にした「クーベルチュール」に加工、板チョコレートに成型するまでの製造工程を一貫して行う製造システム。ヨーロッパでは古くから実践されているところがあるものの、そこから世界的に知られるようになったのは、2007年ごろにアメリカで流行したときだ。この流行が日本にも広がってきたという。
通常の製菓店で多いのは、「クーベルチュール」の段階で仕入れ、チョコレートに加工するスタイルだが、「Bean to Bar」を実践するころで、さまざまな地域のカカオ豆を扱うことができ、それぞれの特徴を実感できるという。
カカオ豆がチョコレートになるまでを体験!
「Minimal」は2014年12月に東京都・富ヶ谷に開業。富ヶ谷の店舗は、カフェとチョコレート工房を併設しており、実際にカカオ豆からのチョコレート作りを体験できるワークショップも行っている。今回オープンする新店舗は本店と形態が異なり、「Bean to Bar」の世界を気軽に体験できるテイクアウト専門店だ。
同店では、焙煎したてのカカオ豆、このカカオ豆を砕いた「カカオニブ」、「カカオニブ」をすりつぶしてペースト状にした「クーベルチュール」、「クーベルチュール」に砂糖を加えて成型したチョコレートの4種類を試食できる。
その順番に従って食べてみる。最初のカカオ豆と「カカオニブ」の段階ではピーナッツのような少し塩気のある味わいだったが、ペースト状の「クーベルチュール」になるとチョコレートの甘味が生まれていた。ペースト状にするとき、「カカオニブ」から油分がでて甘味が生まれるとのこと。
同店で取り扱われているカカオ豆は、「ホンジュラス」「ハイチ」「ベトナム」「コロンビア」「タンザニア」「タイ」「ガーナ」など。「カカオ豆によって味がそこまで変わるものなのか?」と思っていたが、食べてみてその考えが変わった。ハイチ産カカオ豆のチョコレートは、ナッツのようなコクがあり、ベトナム産カカオ豆のチョコレートは「本当にカカオ豆と砂糖しか入ってないの!?」と思ってしまうほど果実を思わせる爽やかさがある。
これらのチョコレートは14cm×7cmの板状で販売(税込972円~)。同店は板チョコレートの形にもこだわっている。代表取締役の山下貴嗣氏によると、「板チョコの形は食べる気分や一緒に食べ合わせるもので、自由に大きさが変えられると面白いなと思って考案しました。一番上は、ひと口で食べたくなるから大きめ。次に、周りの友達にシェアしやすい細長い形。真ん中あたりを細かくしたのは、自分の好きなサイズ合わせてカットできるようにしました。最後は、このチョコレートはおいしかったら誰かにシェアしてくださいという思いをこめて2つに割れるように、とそれぞれの大きさに合わせたストーリーがあります」とのこと。
同店ではそのほか、「カカオニブ」を使った菓子(税込648円~)や、チョコレートのアイス(税込702円~)やドリンク(税込432円)などを用意している。一歩踏み込んだチョコレートの世界を気軽に体験できるので、近くに寄ったときはぜひ立ち寄ってみてほしい。