日本アンガーマネジメント協会はこのほど、「怒りの感情が業務に及ぼす影響」に関する調査結果を発表した。調査は3月11日~14日、正社員(正職員)およびコールセンター勤務の男女を対象にインターネットで行われ、1,289名(怒ったことがある人515名・怒られたことがある人774名)の有効回答を得た。
上司と部下で「パワハラ認識」にズレ
調査ではまず、怒られる側である部下が「パワハラだと感じる」割合について調べたところ、53.8%と半数を超えた。一方、怒る側の上司が「パワハラだと感じている」割合は16.7%。両者の認識に3倍以上のズレが生じていることがわかった。
部下がパワハラだと感じた理由としては、「きつい口調だった」や「怒鳴るなど感情的になった」、「口汚く罵った」などが多く挙がり、感情的に怒られたことが理由の半数以上を占めた。
怒られた部下4割が「モチベーション低下」
続いて、「上司に怒られた後、業務状況は変わったか?」と尋ねたところ、40.6%が「モチベーションが低下した」と回答したほか、「相手を避けるようになった(25.7%)」や「精神的に不安定になった(23.2%)」といった意見も多く挙がった。しかし、対する怒る側は「どのような状態にもならなかった(58.7%)」が断トツの1位に。ここでも、上司と部下の間にギャップがあることがわかった。
1年以上も引きずる部下、20.3%!
次に、怒った(怒られた)後のさまざまな感情がどのくらい継続するのか調べたところ、怒った上司の62.5%は数分程度で感情を切り替えられるのに対し、部下の5人に1人は、1年以上も感情を引きずる傾向が見てとれた。また、それはどのような感情なのか調べた結果、怒られた部下の多くが「相手を避けるようになった(38.1%)」り、「それ以降相手を無視した(33.3%)」といった感情を長期間引きずることが明らかとなった。
さらに、上司に怒られた後、76.9%が元の人間関係に戻っていないことが判明。特に、「口汚く罵られた」「人格まで否定された」など、感情的に怒られた場合の回復が困難なことがうかがえた。
離職者57%が「上司の怒り方が違えば離職せず」
最後に、怒られた部下を対象に「怒り方を変えれば、仕事のモチベーション等に影響を与えなかったか?」と質問したところ、7割が「そう思う」と回答。怒られた後に「異動希望を出した」という人の74%が、また「離職した」人の57%が、怒り方が変わればその判断をしなかったことが明らかとなった。