米Tintriの製品エンジニアリング担当EVPのトニーチャン(Tony Chang)氏が来日。同氏は米NetAppでストレージOS「ONTAP」チーム約1,600人を率いていた人物。そこで、転職の経緯やTintriの強み、これからのストレージ製品のあり方などを聞いた。
──昨年12月にNetAppからTintriに転職されましたが、理由は何でしょうか?
チャン氏:NetAppに8年在籍し、製品エンジニアリングとマーケティングの責任者としてONTAP関連売上を50億ドル規模にまで拡大することができた。転職の理由を述べると非常に長くなるが、端的に言えば、スタートアップに関わり、次世代のストレージベンダーとして大きく育てたいという個人的な思いがあったからだ。そんな中でTintriは、人材とテクノロジーという2つの点がとても魅力的だった。スキルの高い人たちが極めてユニークなソリューションを展開している。とても素晴らしい会社だ。
──両社の仕事のやり方や方向性に違いを感じますか?
チャン氏:NetAppはNASを中心として、テクノロジーの普及とマーケットの拡大に成功した企業だ。最初は小さかった予算はどんどん大きくなり、多くの企業がNetAppの技術を使うようになった。一方、Tintriはアーリーステージにいて、VM-aware storage(VAS)というユニークなテクノロジーを大きく広げていこうとしているところだ。ストレージのデザインが違うため、アプローチの仕方も変わってくる。どう拡大していくかが腕の見せ所だと認識している。
──Tintriのテクノロジー的な特徴はどこにありますか?
チャン氏:NetAppは広範囲に適用できる多目的なストレージということができる。一方Tintriは、仮想化にフォーカスし、仮想ワークロードの中身まで把握して最適化を行うことができることが特徴だ。その意味では、競合のない非常にユニークなストレージ製品ということができる。
──その特徴はマーケットを拡大する上で強みになりますか?
チャン氏:もちろんだ。いまや仮想化はワークロードの75%を占めるデファクトスタンダードだ。仮想化にフォーカスすることは大きなトレンドであり、アドバンテージになる。トレンドとしてはもう1つ、クラウドへの対応がある。AWSやAzureに代表されるパブリッククラウドの利用は今後のデファクトになる。Tintriは、仮想化とクラウドフォーカスし、複雑なワークロード管理をシンプル化し、パフォーマンスとユーザーエクスペリエンス(UX)を最適化していく。
──業界ではオールフラッシュ製品が数多くリリースされていますが、Tintriのオールフラッシュ対応は?
チャン氏:Tintriは、HDDとSSDのハイブリッド構成でキャッシュヒット率99%を実現している。ハイブリッドの良さは、容量とパフォーマンスを両立できることにある。これは実に素晴らしいデザインだ。オールフラッシュへの対応は進める。だが、ハイブリッドを止めるつもりはない。
オールフラッシュの課題はコストだ。顧客はパフォーマンスを優先するとコストを犠牲にする必要がある。Tintriはそれがなく、顧客にどちらの選択肢も提供できる。フラッシュのコストは年々下がっている。3D NANDの登場でさらに下がるだろう。われわれはその対応を積極的に進める。まずは、3D NANDに対応した分析機能や管理ソフトを拡充し、顧客に選択肢を提供していく。