西武鉄道は秩父鉄道の協力の下、28・29日の2日間、「SLパレオエクスプレス」(秩父鉄道所有)を使用した西武秩父発三峰口行の臨時SL列車を運転する。これを記念し、運行初日の28日、西武秩父駅2・3番線にて出発セレモニーを実施した。
「SLパレオエクスプレス」は蒸気機関車C58形363号機の牽引で、土休日を中心に熊谷~三峰口間で運転される秩父鉄道のSL列車。今回は特別運転として、初めて西武秩父駅へ乗り入れる。西武鉄道の本線系統の駅から蒸気機関車が発車するのは59年ぶり。1957年まで、新宿線の一部で蒸気機関車を運行していたという。
西武秩父発三峰口行の臨時SL列車の運転に合わせ、西武鉄道は池袋発西武秩父行のイベント用臨時列車(片道のみ)も運転する。28日は「レッドアロークラシック」車両が使用された。11時15分頃、池袋駅からのイベント用臨時列車が西武秩父駅3番ホームに到着。その約15分後、電気機関車(デキ201)に牽引された「SLパレオエクスプレス」が2番ホームに入線した。「レッドアロークラシック」と「SLパレオエクスプレス」が同じホームに並び、乗客は発車まで記念撮影などを楽しんでいる様子だった。
臨時SL列車の発車を前に行われた出発セレモニーでは、西武鉄道代表取締役社長の若林久氏らが挨拶した。「SLパレオエクスプレスは秩父の代表的な観光資源のひとつ。西武秩父駅へ乗り入れるにあたり、さまざまな課題がありましたが、秩父鉄道からの強力な後押しを受け、課題をクリアして運行実現に結び付けられました。西武鉄道の本線系統では59年ぶりのSL列車ということで、感慨もひとしおです」と若林氏は述べた。
秩父鉄道代表取締役社長の大谷隆男氏も挨拶し、「SLパレオエクスプレス」の蒸気機関車C58形363号機について、「昭和19年(1944)に製造され、年齢的にはすでに72歳。修繕など大変なところもありますが、多くのお客さまに親しまれています。地域の発展のため、大事にしながら運行を続けたい」と語った。両社が協力しての取組みは今後も続くとのことで、「ぜひ多くの方々に関心を持っていただきたい」と話していた。
「SLパレオエクスプレス」による西武秩父駅への乗入れは29日も行われ、往路は西武秩父駅12時19分発・三峰口駅12時50分着、復路は三峰口駅14時3分発・秩父駅14時33分着で運転される。特急レッドアロー(10000系)によるイベント用臨時列車も、28日と同様、池袋駅9時25分発・西武秩父駅11時15分着での運転となる。