PFUとSansanは26日、PFUのドキュメントスキャナ「ScanSnap iX500」の標準機能にSansanの名刺管理サービスを追加したオールインワンモデル「ScanSnap iX500 Sansan Edition」を発売した。価格はオープンで、「PFUダイレクト」での価格は税別55,000円。同日、都内では記者説明会が開催された。
通常モデルとの違い
「ScanSnap iX500 Sansan Edition」は、ワンプッシュで書類を電子化できるドキュメントスキャナ「ScanSnap iX500」に、法人向け名刺管理ソリューションの「Sansanスマートフォンプラン」が付属されたもの。中小企業やスタートアップ企業での使用を想定しており、デフォルトでは月額契約なしで500枚までの名刺管理に対応する。Sansanの名刺管理サービスを簡単にまとめると、名刺をスキャン、画像データを専用クラウドへアップロード、名刺の画像データをもとにオペレータが主導でデータ化……という仕組みだ。
なお、上位の名刺ストレージプランも用意。名刺管理5,000枚までのプラン(月額10,000円)、10,000枚までのプラン(月額18,000円)がある。今回、PFUとSansanのコラボレーションで実現した、新製品。機能面ではスマートフォンとのアドホックによるダイレクト接続に対応、Wi-Fiルータのない環境でも使用できる手軽さが特徴となっている(詳細は後述)。
ビジネスチャンスの拡大へ
説明会の冒頭で、PFUの代表取締役社長、長谷川清氏が登壇した。"身の回りにあふれている紙"に振り回されない生活や働き方を推進するPFUでは、これまでScanSnap iXシリーズを通じて、書類のPDF化、OCRによる情報の抽出、クラウドサービスとの連携などを実現させてきた。
今回の新製品が主なターゲットに想定しているのは、中小企業やスタートアップなど。長谷川氏は、まず「環境のめまぐるしい変化により、ビジネスシーンでも業務スタイルの変革が求められている」と説明。その上で、名刺管理のソリューションを提供する業界大手のSansanと共同で開発したScanSnap iX500 Sansan Editionについて「新たな付加価値を追加した製品。お客様のビジネススタイルを進化させ、ビジネスチャンスをさらに拡大できると確信している」とアピールした。
日本全国にSansanの価値を届ける
続いて、Sansan 代表取締役社長の寺田親弘氏が登壇。まずは、同社の手がけるサービスについて「名刺は企業にとって、外交の記録そのもの。名刺が企業内に埋もれてしまわないよう、社内の情報インフラとして活用できるサービスを提供している」と述べた。
これまで個人向けにはEightを、企業向けにはSansanを展開してきた同社。今回の新製品では、企業内でコモディティ(日用品)として使われることを目標にする。寺田氏は「電話、PC、コピー機などのように、"オフィスで当たり前のように使われる"存在を目指していきたい」と意気込んだ。
昨年(2015年)から提供を開始したSansanスマートフォンプランは、データ化された名刺の情報を、スマートフォンからいつでもどこでも閲覧・検索できるのが特徴。利用ユーザー数に制限はない。寺田氏は「新製品を通じて、日本全国にSansanの価値を届けていきたい」と力を込めた。
ダイレクト接続が可能
PFU イメージビジネスグループの松本秀樹氏は、新製品の価格や販路、機能の詳細について説明した。ScanSnap iX500 Sansan Editionの本体はPFUの法人販売チャネル、家電量販店、ECサイトなどを通じて全国に展開される。繰り返しになるが、価格はオープンで、PFUダイレクトでは税別55,000円で提供。販売規模については、今後1年間で3万台という目標を掲げた。
Sansanの料金プランについては、月額料金なしで名刺500枚まで利用できる初期プランのほか、5,000枚までのプラン(月額10,000円)、10,000枚までのプラン(月額18,000円)を用意している。
機能面での大きな特徴は、Sansanスマートフォンアプリとダイレクトで接続できる点。これにより社内にWi-Fi環境がなくても、スマートフォンとスキャナ本体さえあれば、名刺をその場でデータ化できる。具体的には、スキャナで読み取られた画像がスマホのアプリを通じてクラウドにアップされ、Sansanを通じてデータ化されるという流れ。
スキャナの蓋を閉めることでスマートフォンとの接続が切れる仕様で、このため社内で複数の人間が使用しても、名刺データが混在する心配はない。もちろん、無線LANルータなどアクセスポイントのある環境にも対応している。
中小企業が対象の理由
記者説明会の最後に質疑応答の時間がもうけられた。Eightとの差別化について聞かれると、寺田氏は「Eightは個人向けを想定している。企業として名刺の情報を共有したい、名刺を2次活用したいとお考えのお客様には、Sansanスマートフォンプランが有効になると考えている」と回答。想定する利用者の規模感について聞かれると、寺田氏は「社長+数名の名刺をよく交換する社員がいる会社なら、全員で使っていただける。500枚のプランですべてをまかなえるとは考えていないが、取り敢えず使ってみるには充分な容量と認識している」と答えた。
中小企業をターゲット層にした理由について「中小企業は手薄だったということか」との質問に、寺田氏は「Sansanの既存モデルに関しては、大企業さんにも中小企業さんにも使っていただいている。ただ、手軽に簡単に使いたいケースにおいて、これまでのソリューションではニーズを満たせていない部分があった」と回答。手軽に簡単に使える、今回の新製品の展開に期待を寄せた。