新宿区と工学院大学が包括連携に関する協定について締結した。具体的には「地域課題の解決及び地域の活性化並びに大学の教育・研究の充実を図り、もって地域社会の発展に寄与することが目的」としている。

防災・減災を中心に“産学公”による街づくり

この協定が結ばれた背景には、「防災・減災対策の相互連携に関する基本協定」および「帰宅困難者一時滞在施設の提供に関する協定」が、2012年に新宿区と工学院大学で締結された経緯がある。今回の協定は、2012年に結ばれたものをさらに発展させたかたちだ。

協定書に調印する吉住健一 新宿区長(左)と佐藤光史 工学院大学学長

工学院大学新宿キャンパス。震災時は約700人の帰宅困難者を受け容れた

さらに、工学院大学は日本で初めて建築学部を創設した学校法人。建築学において防災・減災は不可分な領域であり、新宿区に災害が起こった際にその知見を生かせるというメリットがある。

また、同大学は、東北福祉大学(仙台市)と神戸学院大学(神戸市)などともに社会貢献学会を設立しており、防災・減災だけでなく、ボランティア活動への取り組みも積極的。東日本大震災の際も、避難所に「ダンボールシェルター」を設置するためにボランティア活動隊を派遣したり、東京・新宿にあるキャンパスを帰宅困難者に開放したりと、精力的に活動した。

一方、吉住健一 新宿区長は、新宿の建築物が老朽化していることを指摘し、建築学に力を入れている同校の知見に着目し、“産学公”による街づくりに期待をみせた。また、工学院側としても、八王子にもキャンパスはあるが、本拠地は新宿区ということもあり、同地区の発展に寄与することに積極的な姿勢をみせた。