ケン・ローチ監督(C)BANG Media International

ケン・ローチ監督が22日、第69回カンヌ国際映画祭で歴代8人目となる2度目のパルムドール賞受賞者となった。2006年の『麦の穂をゆらす風』以来10年ぶりに新作『アイ・ダニエル・ブレイク』で同映画祭最高賞を受賞した。

コメディアンのデイブ・ジョンズが主役を務めた同作品は、妻を失い、心臓発作の影響で働くことも困難な状況を強いられているが、政府から援助を得ることもできないイングランド北部に暮らす中年男性の姿を追ったストーリーとなっている。

同映画祭の審査員たちは「頑張り屋と怠け者」という嘲笑的な対比が横行する現代のイギリスで、鉄条網に囲まれたかのような福祉行政の無人地帯に迷い込んでしまったキャラクターたちの描写を高く評価した。

メル・ギブソンからトロフィーを受け取ったローチ監督は、その受賞スピーチの中で「緊縮経済における危険な政策」について苦言を呈した。「私たちは希望のメッセージを伝えなくてはなりません。こんな世界ではなくてもいいのだと」「私たちが暮らしている現代社会は危険な状態です。新自由主義という考え方によって引き起こされた緊縮経済における危険な政策に支配され、私たちの生活に大惨事をもたらされています」

そして同映画祭の今年のグランプリにはグザヴィエ・ドラン監督の新作『イッツ・オンリー・ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』が選ばれた。

審査員賞にはアンドレア・アーノルド監督の『アメリカン・ハニー』、女優賞には『マ・ローザ』のジャクリン・ホセが選ばれた。『ザ・セールスマン』はアスガル・ファルハーディーが脚本賞を受賞し、主演を務めたシャハブ・ホセイニが男優賞を獲得している。

監督賞には『グラデュエーション』のクリスティアン・ムンジウ監督、『パーソナル・ショッパー』のオリヴィエ・アサイヤス監督が輝いた。

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