鉄道友の会は24日、今年のブルーリボン賞に阪神電気鉄道5700系、ローレル賞にJR東日本HB-E210系と四日市あすなろう鉄道新260系を選定したと発表した。
阪神電気鉄道、初のブルーリボン賞! 「各駅停車用車両に特化した性能」評価
ブルーリボン賞は1958年、ローレル賞は1961年に制定。鉄道友の会が毎年1回、前年1~12月に日本国内で営業運転を開始した新造・改造車両の中から選定している。今年は14形式が候補車両となり、鉄道友の会会員の投票結果にもとづき、選考委員会による審議の上、ブルーリボン賞(最優秀車両)1形式、ローレル賞(優秀車両)2形式が選ばれた。
阪神電気鉄道5700系は昨年8月から営業運転を開始した普通用の新型車両で、愛称は「ジェット・シルバー 5700」。高加減速性能が要求される同社の普通用車両において、初代「ジェットカー」5001形から続く設計コンセプトが5700系にも受け継がれている。全電動車方式を採用しつつ、両端車の主電動機を2個装備の3M1T相当としてコスト低減も図った。レーザー溶接によるなめらかな表面のステンレス車体、普通用車両のイメージを踏襲した「カインド・ブルー」を配した外観・内装も特徴となる。
鉄道友の会はブルーリボン賞の選定理由として、「最新技術を導入し、標準化の流れに沿いつつ、旅客サービス向上による『人へのやさしさ』と環境負荷物質の低減による『地球へのやさしさ』の追求をコンセプトに、各駅停車用車両に特化した性能としていること」を挙げた。阪神電気鉄道の車両がブルーリボン賞に選ばれるのは今回が初となる。
JR東日本HB-E210系と四日市あすなろう鉄道新260系がローレル賞に
JR東日本HB-E210系は昨年5月、東北本線・仙石線を直通する仙石東北ラインの開業に合わせて導入されたディーゼルハイブリッド車両で、ステンレス車体の3扉車2両編成。鉄道友の会はローレル賞の選定理由として、「環境性能向上、旅客サービス向上、メンテナンスコスト低減などを具現化し、今後の地方都市近郊の鉄道輸送に大きく貢献する優れた車両であること」を挙げた。JR東日本の車両は2014年のE6系、2015年のEV-E301系に続き、3年連続でローレル賞に選ばれている。
四日市あすなろう鉄道新260系は、既存車をリニューアルした先頭車の261号車(制御電動車)・161号車(制御付随車)と、老朽化した中間車を代替新造した181号車(付随車)の3両編成。同社は2015年度から4年間かけて車両の新造・リニューアルを順次行うとしており、261号車・181号車・161号車はその最初の編成となる。外観カラーをアイボリーとブルーで統一し、同社車両のイメージ一新も図った。
昨年4月、近鉄内部・八王子線を引き継ぎ「公有民営方式」で発足した四日市あすなろう鉄道は、軌間762mmの特殊狭軌線として知られる。鉄道友の会は新260系のローレル賞の選定理由として、「762mm軌間の鉄道車両という厳しい条件を克服して、当節の車両として必要にして十分な内容を具えていること」を挙げている。