日東薬品工業はこのほど、京都大学の小川順教授との共同研究の結果を明らかにした。ラクトバチルス属ブレビス種の乳酸菌(Lactobacillus brevis NTM003株、以下「ブレビス菌」)に、 尿酸値を下げる効果が確認できたという。
乳酸菌にはさまざまな健康効果があることが知られているが、今回は「プリン体」を代謝する活性を持つ乳酸菌に着目した。プリン体はレバーや魚、魚卵などの食材に多く含まれており、それらの食品を過剰に摂取し、体内に尿酸が蓄積すると高尿酸血症が引き起こされる。高尿酸血症は、30歳以降の成人男性の約30%が罹患(りかん)していると報告されている(※)。
高尿酸血症をそのまま放置すると、痛風や尿路結石といった合併症を発症する可能性も高まるとのこと。高尿酸血症を防ぐには、プリン体の摂取を控えることが望ましいが、プリン体は日本人の好む食材に多く含まれており、摂取を制限することが難しいという。
同社では、保有する170株の乳酸菌の中から、プリン体を代謝する活性が強い「ブレビス菌」を選抜し、その効果について実験を行った。「ブレビス菌」はラクトバチルス属に属する乳酸菌で、菜の花漬けから発見されたという。
実験では試験管内で、ブレビス菌と、プリン体の一種「プリンヌクレオシド」であるイノシン、グアノシンを反応させた。その結果、約30分後にはこれらの代謝物であるヒポキサンチン、グアニンに変換されたことを確認。ヒポキサンチン、グアニンは、プリンヌクレオシドと比較して、より体内に吸収されにくいプリン塩基の一種だという。
この実験結果から、ブレビス菌を摂取すると、プリン体の体内への吸収が抑制されることが明らかとなった。同社では「尿酸が引き起こす痛風や尿路結石などの疾患を予防できる可能性があると考えられます」とコメントしている。
※高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版より