――ストレスチェック制度を社員全員に浸透させるには、時間がかかったのではありませんか?

小野氏: 大切なのは「働きやすい環境を作っていくため」という目的を繰り返し説明することです。人事から毎月メールを送るだけでは、答えてもらえないでしょう。根付かせるまでは、部門長を通じて「やりましょう」と啓蒙を続ける必要があります。

――ストレスチェックというと集団分析による職場改善が注目されていますが、御社が個人単位での面談を重視するのはなぜでしょうか?

小野氏: 会社によって事情が異なると思いますが、パイプドビッツは少人数の部署が多く、年に一回の組織変更もありますので、個人個人に重きを置いています。

――ストレスチェックについて、どのような相談を受けることが多いですか?

パイプドビッツ 経営ソリューション事業部 コンプライアンスプランナー 岸利賢氏

岸氏: 一番多いのは「実施者となる産業医が見つからない」という相談です。嘱託産業医に断られるケースが多いようで、パイプドビッツでは先生を探すところからお手伝いしています。ただ、メンタル不調の問題をすべて産業医にお任せできるかというと、そうではありません。その人はどういう性格で、過去どういうキャリアを歩んできて、どんな仕事をしていて、上司はどういう人か、という社員の細かいところまでは見えませんから。

――お話を伺っていると、ストレスチェックを実施する頻度も重要に感じます。

岸氏: 正直なところ、職場改善に活かすには、年1回の実施ではあまり意味がないと思います。いきなり毎月実施することは難しいかもしれませんが、ストレスチェックを意義のあるものにするためにも、まずは年に2回の実施から提案しています。会社がコストをかけて実施する以上、労基署に届ける資料を作るためではなく、離職防止の早期発見アラートなど職場改善のツールとして活用することが重要だと思います。