ブラザー販売は5月16日、ビジネス向けプリンタブランド「JUSTIO」の新製品として、印刷速度と耐久性を強化したA4モノクロレーザープリンタ・複合機を5モデル発表、6月上旬から発売する。製品の概要については別記事「ブラザー、最高50枚/分と高耐久60万枚出力のA4モノクロ複合機・プリンタ」を参照いただくとして、ここでは記者発表会の様子をお伝えしよう。

新社長と新中期計画にとって重要な位置づけとなる製品

上の写真は、高耐久高速(装置寿命60万枚/印字毎分50枚)の2製品に、オプションを付けた状態。左側はレーザープリンタ「HL-L6400DW」に、オプションの下部4段トレイ「TT-4000」と、同じくオプションの上部メールボックス「MX-4000」を取り付けたもの。右側は、レーザー複合機「MFC-L6900DW」に、オプションの下部4段トレイ「TT-4000」を取り付けたものだ。なお、HL-L6400DWの想定価格は税別106,500円前後、MFC-L6900DWは154,500円前後(以下すべて税別)となる。

レーザー複合機「MFC-L5755DW」は、従来モデルと同じく装置寿命は30万枚。印刷速度は毎分40枚。想定価格は106,500円前後だ

従来と同じ30万枚の装置寿命となるレーザープリンタは、無線LAN対応のHL-L5200DW(想定価格70,500円前後)と、有線LANのみの「HL-5100DN」(想定価格58,500円前後)

説明会ではまず、2016年4月からブラザー販売の社長に就任した三島氏があいさつ。今回の発表製品はモノクロレーザー機と地味ながら、新たにスタートする新中期計画「CSB2018」にとって重要な役割を担うとした。

ブラザー販売 代表取締役社長の三島勉氏。4月から社長に就任し、大きな報道向けイベントは今回が初となる

昨年(2015年)までの中期計画では、プリテンィング分野の販売台数強化が主眼だったが、新しい中期計画はプリンティング分野の売上台数を維持しつつ収益力を強化。具体的には、ソリューション提案を強化して、従来のSOHO・パーソナル市場からSMB(中小企業)市場の開拓と販売拡大を目指す。収益力の高い商品と、消耗品の販売を増やしていく考えた。

一方、他社もSOHOからSMB、大手の複写機メーカーはコーポレートからSMBの強化を狙っており、競合が増える。ブラザーとしては、コストパフォーマンス、特にランニングコストの低さという従来の強みに加えて、多くのプリントに耐える高耐久性とサービスメニューの拡大で対抗すると述べた。

その足掛かりとなるのが、今回投入される新製品だ。今までの2倍となる60万枚の装置耐久性と、1枚当たりのランニングコストが2円(※)という低価格を実現した。ブラザー製ラベルプリンタやモバイルプリンタなども合わせた、業種別のソリューション提案を構築する。これにより、販売台数を大きく増やさなくても、販売金額と利益を伸ばす。

JIS X 6931に基づく。印刷可能枚数が8,000枚の大容量トナーカートリッジ(16,000円)を使用。

ブラザーグループの新中期計画「CSB2018」、テーマは「変革への挑戦」。プリンティング事業は台数重視から、売上額と利益の向上を狙う

現状のブラザー製プリンタは個人とSOHOが中心。シェアと顧客満足度は高いので、ここは堅持

課題となるのがSIerを含む販売店チャネル。ここで高収益が望める製品群を増やす。具体的にはSMBへの売り込み強化だ

プリンタ複合機メーカーはSOHOからSMBへ、複写機メーカーはコーポレートからSMBへとシフトしているため、有望だが競合が増えて厳しい市場ではある

オフィスにおいてA4プリンタは主たるサイズ。コンパクトで高耐久、高速なプリンタ・複合機によって、この市場における販売数を2倍に増やすのが目標

営業体制も強化。今年はさらに医療機関向けのプリセールスも加える。高耐久製品のカラーリングが白を基調としているのも、「医療機関へのセールスを考慮した」から

SOHOよりも一つ上の市場を狙うため、高耐久と豊富なオプションを用意

新製品に関してはブラザー販売の伊藤氏が説明。今回は60万枚の装置寿命を持つ耐久性モデルを投入したのがポイントだ。従来のブラザー製ビジネスプリンタが主にSOHO向けだったのに対し、プリントボリュームの多い中小企業へと製品ポジションを強化するために必要だったと述べた。印刷速度も最大50枚/分へとスピードアップし、さらに幅広いニーズに応えるため豊富なオプショントレイを用意している。

ブラザー販売 マーケティング推進部長の伊藤英雄氏。前任の大沢氏は新規事業の立ち上げでブラザー工業に異動したそうだ

従来製品の2倍となる装置寿命60万枚の2製品が目玉

以前からブラザー製レーザープリンタの利点であった「一枚当たりのランニングコストが2円」を維持しつつ、保守サービスにおいて交換部品込みの新サービスパックを用意。保守費用の明確化を計る。

また、ビジネスプリンタの上位ブランド「JUSTIO PRO」を販売するパートナー企業(約300社)を通じて、きめ細やかなサポート販売体制によって上位製品の構成率を高める。こうした施策によって、利益率の向上を狙うとした。なお、パートナー企業を積極的に増やすのではなく、既存のパートナー企業への支援を強化することで、全体の販売の底上げを行う。

今回の新製品をきっかけに、中小企業向けのセールスを強化。消耗品なども含めた利益向上を狙う

事前調査によるユーザーニーズ。ランニングコストは以前から低かったので、耐久性と保守サービスの強化が必要と判断した

新製品のポイントは、低ランニングコスト、高耐久、高速印字に加えて、豊富なオプショントレイ

オプショントレイは最大2,080枚のタワートレイを用意し、プリンタ製品にはメールボックスオプションもラインナップ

ファクスクラウド転送(受信したファクスをクラウドサービスに保存)は、ずっと好評だという

交換部品費用まで含んだ定額保守の新サービスパックを用意。わかりやすい料金体系を実現した

量販店やWebによる個人・SOHO販売は堅持しつつ、ビジネス販路による高収益製品への転換を図ることで利益向上を目指す

2016年のレーザー複合機・プリンタの販売目標は10万台。2015年とほぼ横ばいだが、上位製品の構成率を増やすことで売上と利益を向上させる