財務省は5月12日、2015年度の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は17兆9,752億円の黒字となった。

旅行収支などが1996年度以降で過去最大の黒字

経常収支は、貿易収支とサービス収支が赤字幅を縮小したことなどから、黒字幅は前年比9兆2,507億円拡大。東日本大震災が年度末に発生した2010年度(18兆2,687億円)に迫る水準まで回復した。

2015年度の経常収支

貿易・サービス収支は5,810億円の赤字。赤字幅は前年度比8兆7,332億円縮小した。

貿易収支は6,299億円の黒字。鉱物性燃料の輸入額が減少したことなどから黒字転化した。輸出額は同2兆5,014億円(3.3%)減の73兆1,355億円と、3年ぶりの減少となった。輸入額は同9兆7,202億円(11.8%)減の72兆5,057億円と、6年ぶりに減少した。

サービス収支は1兆2,109億円の赤字。赤字幅は同1兆5,144億円縮小。旅行収支および知的財産権等使用料が1996年度以降で過去最大の黒字となったことなどから、サービス収支は1996年度以降で過去最少の赤字となった。

第1次所得収支は20兆5.611億円の黒字。黒字幅は同5,855億円(2.9%)拡大した。「直接投資収益」および「証券投資収益」が増加したことなどから、第1次所得収支は黒字幅を拡大し、1985年度以降で過去最大の黒字となった。

財務省は国際収支状況について、「原油価格の下落によって輸入額が減少したこと。また、訪日外国人旅行者数の増加によって旅行収支が1996年度以降過去最大の黒字となったことなどが要因」と分析している。