北海道各地から、旬の水産物と青果が集まる「札幌市中央卸売市場」。周辺には、市場に届いたばかりの新鮮な海の幸が味わえる食事処も多数ある。札幌に泊まった翌朝は、早起きして寿司や海鮮丼を食べに出かけるのもいいだろう。市場はJR「桑園駅」、または地下鉄東西線「二十四軒駅」から徒歩10~15分。散歩がてら立ち寄りたい朝食スポット3件を紹介しよう。今回はその1件目「魚河岸 ひかり寿司」だ。

卸売市場で仕入れたばかりの新鮮な魚介が10貫1,000円の「市場寿司」

目利きが選ぶ鮮度抜群のネタを手頃な価格で

2006年に開店した「魚河岸 ひかり寿司」は、札幌市中央卸売市場の水産棟に隣接する「さっぽろ朝市」の中にある穴場。道内外に北海道の魚介を卸している光水産の直営店だ。ここで楽しめるのは、毎日早朝に市場で仕入れる鮮度抜群の海の幸。しかも手頃な価格で気軽に味わえる。

卸売市場の関係者が来客を連れて食事に訪れることも多く、市場の中の寿司処は「魚のプロが食べに来るから、おかしいものは出せない」という。今回は、一番手軽な価格の寿司盛り合わせ「市場寿司」を注文してみた。1人前10貫1,000円という驚きの安さで、甘エビやカンパチ、ズワイガニ、イクラも入っている。

気さくなベテラン寿司職人の塚本裕明店長。卸売会社の社長と二人三脚で寿司を提供する

優しく飽きのこない、ほっとする味わい

ベテラン寿司職人の塚本裕明店長が握る寿司は、ネタが大き過ぎず小さ過ぎず、どれもなめらかな口当たり。脂がのったサーモンやコクのあるイクラも、後口はさっぱりしていてしつこくない。イカやタコはほんのり甘く、程よい歯ごたえが楽しめる。全体的にどことなく懐かしく、優しい印象で飽きのこない味わいだ。

同店では、米は炊き上がりが重くならないよう、新潟産コシヒカリの新米に水分が適度に抜けた古米を寿司飯に合う割合でブレンド。酢は、寿司用米酢「白菊」と酸味がしっかりした超特級酢を合わせたものを使用している。また、隠し味として、米を炊き上げる際はうま味と粘り成分が豊富な根室産ねこあし昆布だしを加えているそうだ。

握り寿司の10貫セットは「市場寿司」のほか、ホッキ貝や数の子が入る「魚河岸」(2,000円)や、お好み10貫の「特選握り」(3,000円)など計4種類。2016年5月にメニューをリニューアルし、新鮮なタラバガニとズワイガニの脚の握りの「かにづくし」(予価2,800円)が登場する予定だ。

小上がりも2卓あり、グループで通う常連客に喜ばれている

高級魚の握りも1貫から注文できる。皮を香ばしくあぶった釣りキンキ(別名キチジ、めんめ)は、同店自慢の逸品だ。また、5月はサクラマス、6・7月はトキシラズ(脂がのった若い鮭)、10月以降は"幻の鮭"と呼ばれるほど稀少な高級鮭の「鮭児(ケイジ)」も提供する。お得なセットと高級魚の単品を組み合わせて、量も味も大満足の食事を楽しむのがオススメだ。

●information
魚河岸 ひかり寿司
住所: 北海道札幌市中央区北十二条西20丁目1-20 丸果ビル1F さっぽろ朝市内
営業時間: 5:00~14:00(LO13:00)
定休日: 日曜・祝日・札幌市中央卸売市場の休業日

※記事中の情報・価格は2016年4月取材時のもの。価格は税込。食材の内容や産地は、季節や天候により変更の場合あり