ニュージーランドのタウランガにてこのほど、キウイフルーツの効果に関する国際シンポジウム「第1回 キウイフルーツの栄養および健康効果に関する国際シンポジウム」が行われた。
同シンポジウムは、ニュージーランドで食品栄養分野について戦略的に研究に取り組む国営研究拠点「リデット研究所」が主催し、ゼスプリインターナショナルが後援したもの。世界16カ国、185名の専門家などが参加し、キウイフルーツに関する最新の研究結果が発表されたという。
ニュージーランド・オタゴ大学教授のリチャード・ギャリー教授は、キウイフルーツがもたらす消化器系の健康機能における効果について、同国での多施設臨床試験の結果を発表した。
便秘や過敏性腸症候群(IBS-C)といった症状を持つ人に、1日に2個のゼスプリ グリーン・キウイフルーツを摂取してもらったところ、消化機能と便通頻度の著しい改善や消化機能改善がみられたという。健常者が同量を摂取しても下痢にはならないという結果も示された。
リデット研究所のカーリーン・スタルク博士は、キウイフルーツを摂取すると、消化器系の不快感を緩和するだけではなく、たんぱく質の消化や内臓の健康的機能などにも大きく寄与する可能性があると説明した。
キウイフルーツが持つ自然の消化酵素「アクチニジン」については「たんぱく質の分解と胃内の消化促進をすることによって消化緩和を改善するという研究を進めている」と発表。グリーン・キウイフルーツの保水力がある食物繊維は、大きく柔らかな便を作るのに有効で、腸の動きを促進する働きがあることも明らかになったという。
ニュージーランド・オタゴ大学のマーグリート・ヴィッサー教授とアニタ・カー博士は、免疫システム機能をサポートし、疲労と倦怠(けんたい)感を軽減するビタミンCは、食事で日常的に摂取することが必要であると説明した。その上で、毎日キウイフルーツを摂取することは、血液中および体内中のビタミン濃度を高める上で効果的であると発表した。
食品産業技術総合研究ニュージーランド研究所のジョン・モンロー博士は、不十分な血糖値管理は糖尿病や慢性心血管疾患(CVD)のような肥満に関連する慢性疾患につながると解説した。
そこでキウイフルーツの血糖値への影響を特に注視し、試験管内研究(in vitro)とヒト介入研究から得た結果を発表した。イモ類や米といったでんぷんなどの食品を部分的にキウイフルーツと置き換えた食事療法は、血糖値の上昇を抑え、栄養摂取量を増加させることに効果的であるという。
食品産業技術総合研究ニュージーランド研究所のポール・ブラッチフォード博士は、キウイフルーツが大腸内で、微生物組成物と代謝機能へどのような影響をもたらすかを試験管内(in vitro)発酵システムの研究結果をもとに発表した。
博士は、「キウイフルーツは食物繊維(2~3%)だけでなくポリフェノール、脂肪酸、有機酸、プロテイン、ビタミン、ミネラルなどの栄養素を含んでいることから、大腸の微生物生態学を変える可能性がある」と示唆。グリーン・キウイフルーツとゴールド・キウイフルーツが腸内フローラを活性化することも発見したという。
シンポジウムでは、東北大学・福土審先生がチェアマンを務め、日本・海外の研究者、参加メディアで活発な議論が行われた。軽食スペース内では、グリーンキウイ、 サンゴールドキウイとカスタードクリームのタルトが提供されたという。