1970年代末から80年代初頭にかけて精力的に活動したテクノポップバンド・プラスチックスが2016年、結成40周年を迎え再結成し、初の公式アーカイブ本『PLASTICS 情報過多 -TOO MUCH INFO-』(発売中 3,800円税別 徳間書店)を刊行。それを記念したトークイベントが5日、都内で行われ、中西俊夫らメンバー3人が登壇した。

トークイベントに登場したプラスチックスのメンバー(左から、立花ハジメ、中西俊夫、島武実)

「Too Much Information」。これは、バンドの1stアルバム『WELCOME PLASTICS』(80年)に収録されている楽曲のタイトルで、その中では、情報に埋め尽くされ記号化していく世界都市・東京の様子がシニカルに歌われていた。それとよく似た副題が冠されたアーカイブ本は、当時の雑誌記事のスクラップなどで、彼らが"どう語られてきたか"、そして現在のメンバーのインタビューや著名人のコメントなどで"今、どう語るか"といった主に2つの視点で構成されている。

しかしトークで中西自身も語っているように、バンドはこれまで数度、散発的に再結成公演を行ってきてはいるものの今年に至るまで、活動の空白期間は短くない。そのため、ここであらためて、彼らの活動歴を振り返りたい。

バンドのこれまでと現在

プラスチックスは1976年、イラストレーター・中西、スタイリスト・佐藤チカ、グラフィックデザイナー・立花ハジメを中心として結成。幾度かのメンバー交代を経て、1979年のデビュー時には3人に加え、後にプロデューサーとして名をはせた故・佐久間正英さんと作詞家・島武実が集まった。

左から、中西、立花、島

もともとプロのミュージシャンだったのは佐久間さん1人というアマチュア精神を押し出したバンドは、リズムマシン・CR-78による軽快なドラムやシンセサイザーなどのチープな電子音を基調としたテクノポップサウンドを構築する。"ヘタウマ"な演奏と皮肉っぽくも軽く見せた姿勢で評価を獲得し、ザ・スミスやアズテック・カメラといったバンドが在籍した英国の名インディーレーベル、ラフ・トレードからデビュー。逆輸入的に日本でも話題となるとP-MODELやヒカシューと共に"テクノポップ御三家"として、並び評された。

以降も、海外ではB-52'sやラモーンズなど名だたるアーティストと共演。国内でも音楽番組など多数のメディアに登場した。1981年、デビューからわずか2年で解散してしまったが、その都市的でシニカルな"キッチュ"に満ちた感覚は、その後もピチカート・ファイヴや、現在ではポリシックス、きゃりーぱみゅぱみゅなどにも受け継がれていると言えよう。

そんなプラスチックスの40周年となる今春は、アーカイブ本のほか、さまざまな企画が進行している。4月には、3枚のオリジナルアルバムのリマスター盤をデラックス・エディションとして再発。トーキング・ヘッズの前座を務めた米国・ニューヨークでのパフォーマンスを収めたライブ盤『We Love You Oh No! PLASTICS Live in Central Park NYC 1981』もリリースされた。5月10日には、ブルーノート東京で2部公演を開催する。