ブルーカレント・ジャパンはこのほど、専門家監修のもと、「極端な糖質制限の危険性」「適度な糖質を健康的に摂る方法」について明らかにした。
2月3日~5日にかけて、10代~70代の男女700人を対象に「食事によって積極的に摂(と)るべきであると思う栄養素」を尋ねたところ、「食物繊維」(66.4%)、「ビタミン」(65.0%)、「ミネラル」(49.5%)、「カルシウム」(63.1%)といった栄養素が上位に並んだ。
しかし、「糖質」と回答したのは19.1%で、同じ三大栄養素である「たんぱく質」(42.0%)よりも半分以上少なかった。糖質カットで痩(や)せるということが認知された影響もあってか、積極的に摂ろうとの意識は希薄であることがわかった。
近年、三大栄養素のたんぱく質、脂質、糖質のうち、糖質を制限する食事療法「糖質制限」が注目されている。糖質制限をすることで血糖値の急上昇を防ぎ、太るホルモン「インスリン」の過剰な分泌を抑え、痩せやすい身体を作るという原理だ。
しかし、東京慈恵医科大学附属病院 栄養部課長の濱裕宣先生や、解毒女子の会主宰・伊澤花文先生などの専門家は、自己流や極端な糖質制限は逆効果になると指摘している。
糖質のみを知識なく極端に制限して、たんぱく質や脂質をむやみに摂取すると、エネルギー過多となり、逆に太ってしまう可能性もある。また、糖質を制限すると、血糖値を保つため副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌される。分泌をくり返すと副腎が疲れ、不眠や無気力感などの症状が出る場合もあるという。
さらに糖質制限によって血糖値を上げるホルモン「グルカゴン」が過剰に分泌されると、胃酸の分泌が抑制され、消化不良を起こす可能性も高まる。消化不良は腸内細菌を乱し、便秘や腹部膨満感の原因になるほか、身体に必要なミネラルやビタミンなどの栄養素を吸収できないなど、さまざまな問題を引き起こしてしまうという。
糖質制限の経験有無について調べたところ、71.3%が「糖質制限を行いたくない」と回答した。糖質制限が注目される一方、糖尿病治療やダイエット目的などで食事療法を行う際は、ごはんやパンなどの主食である糖質は制限したくないと多くの人が考えていることがわかる。
濱先生と伊澤先生は、極端な糖質制限により「糖質をカットする」のではなく、「糖質の吸収を抑える」ことが大切であると述べている。適度に糖質を摂取しつつ、吸収する糖質の量を無理なくコントロールした方が、健康と美容の両面でメリットが大きいという。
糖質の吸収を抑える栄養素として「食物繊維」が挙げられる。近年の研究では、水溶性の食物繊維「大麦β -グルカン」を含む食品の摂取により、糖質の吸収が53%抑制されることが報告されている。
また、朝食に大麦を食べると、朝の直後だけでなく昼や夕方の糖質の吸収を抑制することが明らかとなった。研究では、被験者は朝食として糖質の含有量が50gになるように調整した大麦、または白小麦パンを摂取。昼食後に血糖値を比較したところ、朝食で大麦を食べた群は、白小麦パンを食べた群と比べ44%糖質の吸収が抑えられていたことがわかった。
このように、1日の最初に食べた食事が、次の食事の血糖値に影響を及ぼすことを「セカンドミール効果」と呼ぶという。大麦は、可食部100gあたりの食物繊維が精白米と比べて約20倍も多く、朝食の主食を「大麦ごはん」に置き換えるだけで、無理なく糖質をコントロールできるとのこと。