4月29日・30日、東京・中野サンプラザで春のヘッドフォン祭 2016が開催 (主催 : フジヤエービック)。本稿ではトライオードの前方定位ヘッドホンなど、14階と15階で見つけた気になる展示をレポートする。

前方定位ヘッドホン「CZ-1」

15階のトライオードブースでは、4月27日に発表した「CZ-1」を初めて公開した。CZ-1の最大の特徴は、ヘッドホンで前方定位を実現したこと。普通のヘッドホンで音楽を聴くと、音は頭の内部に定位するが、CZ-1の場合、頭よりも前に音像ができる。

CZ-1

ハウジング内部に、高音用と低音用の2つのユニットを配置している。加えて、逆チャンネルの音(左チャンネルには右チャンネルの音、右チャンネルには左チャンネルの音)を加えるためのユニットも装備。逆チャンネル用のユニットは、ハウジングの外側にあるドアノブのような部分に装備している。

ハウジング内には2つのユニットが確認できる

ドアノブのような形状は、前方定位を実現するための構造

逆チャンネル再生用のユニットは、音楽再生用のユニットとは開口面が逆に取り付けられており、位相は反転する。また、棒状のダクトを経由して音を届け、遅延を生じさせることで、前方定位を実現しているという。

実際に聴いてみると、スピーカーのように演奏者が前方にいて、そこから音が聞こえてくるよう、というよりは、頭よりも少し前に音像が定位している感じだ。音像が一般的なヘッドホンよりも自然なので、これまでにはなかった感覚を味わえる。

フォステクスの新作ユニバーサルイヤホン

TE100

フォステクスブースでは、ユニバーサルイヤホン「TE100」を展示。TE100は、ダイナミック型とBA型のドライバーを組み合わせたハイブリッドタイプのイヤホンだ。6月下旬の発売を予定しており、希望小売価格は115,000円(税別)。

ダイナミック型のドライバーを使用したイヤホンでは、低域特性を向上させるために通気口を設ける場合が多い。TE100では、FitEarが培ってきたカスタムイヤホンの技術を採用し、通気口なしでバランスの取れたサウンドデザインを行っている。これにより気密性や遮音性が向上し、周囲の環境に左右されずに音を楽しめるようになっている。

エアコントロールのためのシェルは、高精度な3Dプリンタで1台ずつ製造。シビアなアコースティックチューニングを施している。ケーブルは着脱式で、コネクタは2pinタイプ。付属のケーブルは6N品質のOFCだ。

MrSpeakersが静電式ヘッドホンの開発を発表

エミライブースでは、4月26日に発表されたMrSpeakersの平面駆動型ヘッドホン「ETHER 1.1」と「ETHER C 1.1」を展示。両モデルとも国内初公開となる。

ETHER 1.1

ETHER C 1.1

ETHER 1.1とETHER C 1.1は、平面振動板「V-Planar」を使用したヘッドホン。新モデルでは、よりV-Planarの特性を生かすようにチューニングしており、低域の再生能力などが向上しているという。

また4月29日には、MrSpeakersの創設者・Dan Clark氏が、新たな静電型ヘッドホンを開発中であることを発表した。

MrSpeakers社の設立者Dan Clark氏

開発中の静電型ヘッドホン(手前)

写真は静電型ヘッドホンのプロトタイプ。奥にあるハウジングの周囲が赤いモデルが標準タイプのETHERで、手前にあるハウジングの周囲がブルーのモデルが静電型のプロトタイプだ。

コルグが真空管アンプを開発中

コルグブースでは、超小型真空管「Nutube」を使用したハイブリッドアンプを参考出展している。Nutubeは、蛍光表示管の技術を使った双三極管。一般的な真空管の約2%という低電力で動作する。リニアリティが高く、真空管特有の倍音豊かな倍音も楽しむことができる。

ハイブリッドアンプの試作機

超小型真空管「Nutube」