帝国データバンクは4月25日、「熊本地震の現状と今後の復興に向けて」と題した調査結果を発表した。それによると、熊本地震の被災地に所在する企業の取引先は全国3万1,665社に上った。

被災地所在企業1万7,208社の取引先社数

農産品の流通プロセスへのダメージ懸念

同調査は、2016年3月末時点の企業概要ファイル「COSMOS2」を基に、本社が被災地に所在する企業1万7,208社の取引先(仕入れ先・販売先)や各地域の産業の集積状況をまとめたもの。対象被災地は、4月14日以降に震度6弱以上が記録された地域。

被災地所在企業の仕入れ先は1万5,911社で、うち、被災地所在企業への販売を主力とする企業は4,829社だった。

販売先は1万5,754社で、うち、被災地所在企業からの仕入れを主力とする企業は5,103社。地域別にみると、被災地を含む「九州」が8割以上の4,105社に上ったほか、「関東」も1割超の517社となり、同社は「熊本地震による影響は全国に波及する可能性もある」と指摘している。

熊本県の産業の集積状況をみると、「飲食料品卸売業」の8割超が被災地に集積しており、県の強みとなる農産品の流通プロセスへのダメージが懸念されるという。

大分県内の被災地(別府市、由布市)では、特に「旅館・ホテル」が多い地域に被害が集中。また、同県内の「旅館・ホテル」業の4割超が被災地に所在しており、訪日外国人を中心に観光客数が増加していた中での震災は、「県経済にとっても痛手となりかねない」と懸念している。

同社は、被災地所在企業の復興・支援策の策定には、「地域の実態に合わせたきめ細かな取り組みが重要」と指摘し、「震災被害への影響を可能な限り抑えるためには、被災していない企業や個人の日常の行動が、被災地への大きな支援となる」としている。