Windows 7とWindows 8.1からWindows 10への無償アップグレードが、2016年7月29日で終わる。これについて日本マイクロソフトは、4月27日に都内で記者発表会を開催し、Windows 10の無償アップグレード促進に向けた施策について説明した。同社の平野社長は、無償アップグレードが可能な期間があと100日を切ったことが意外に周知されていないと指摘。できるだけ多くのユーザーが無償でアップグレードできるよう取り組んでいくと述べた。
発表会の内容はひとまず置いておき、結論的な部分を先に紹介しよう。下記の3項目は、いずれも日本マイクロソフト側の発言だ。
・無償アップグレードの期間延長は、絶対にない
・何月何日何時何分に、どのようなかたちで終了するのかは不明
・7月28日(木)が終わるまでに、アップグレードを済ませておくのが安全
Windows 10が提供開始された2015年7月29日から少しの間、アクセスが集中してアップグレードできない状態があった。来る7月29日(28日?)にこれと同じことが起こったらどうするのかと聞いたら、そうならないようにサーバーとネットワークにかなりの冗長性を持たせているとのことだ。とはいえ何が起こるか分からないので、Windows 10へのアップグレードは、できるだけ早く行うことをおすすめしたい。
無償アップグレードでWindows 10にしたPCで、Windows 10を再インストールする必要がある場合も気になるところ。一度アクティベーションしたPCはクラウド上に情報が残るため、ハードウェアの構成を変更しない限り、問題なく無料で再インストールできる。どれくらいの「ハードウェア変更」で引っかかるのかは明らかにできなかったので、情報が得られるようなら追ってお伝えしたい。
日本のユーザーは「安全重視」「ギリギリ」
では、発表会の内容に触れていこう。日本マイクロソフトの平野社長はまず、Windows 10を取り巻く現在の環境について数字を挙げて紹介。Windows 10は昨年(2015年)7月の発表以来、歴代Windowsの中で最も速いペースで普及が進んでいる。
現在ワールドワイドで、2.7億台以上のWindows 10搭載デバイスが稼働、Windows 10の展開ペースはWindows 7と比較して145%となり、インストールベースでは既にWindows 8およびWindows 8.1を抜いているという。
また、Windows 10の累計使用時間は750億時間以上、Windowsストアへのアクセスは50億回以上、Windows 10の導入に向けてアプリケーションの互換性等を検証中の法人が76%、Windows 10 Mobileデバイスの発売または開発表明社数は国内だけで11社になったと語った。
こうした背景の中、日本マイクロソフトではWindows 10のさらなる拡大に向け、2つの大きな柱を立てて戦略的に取り組んでいる。ひとつ目の柱は「Windows 10搭載デバイスの充実」、もうひとつは「無償アップグレードの促進」だ。
Windows 10のさらなる拡大に向けての施策は大きく2つ。1つはデバイスを充実させること。そして、もう1つは無性アップグレードの期日が近づいていることを周知すること。期日は7月29日。あと100日を切っている |
この4月に国内で販売されているPCの90%はWindows 10を搭載しており、今後も様々な搭載デバイスが市場に投入される予定。日本マイクロソフトはOSだけでなく、Surface 3やSurface BookなどのWindows 10デバイスも販売しているが、こちらは学生やクリエイターへの訴求に注力し、「Surface "学割"キャンペーン」の対象デバイスを拡大して、4月28日からはSurface Bookも対象とする。
また、Windows 10の魅力をエンドユーザーが気軽に体感できる「Windows エリア」を、家電量販店の大型店舗内に拡充していく。現在はケーズデンキやエディオンなど、27店舗で展開中だ。4月29日には国内最大級の面積となるWindows エリアを秋葉原の「ヨドバシマルチメディアAkiba」でプレオープン、5月10日にグランドオープンする。「Windows エリアを今後もどんどん広げていく」(平野社長)。
2つ目の柱である無償アップグレードの促進だが、Windows 10への無償アップグレードは7月29日(金)までの期間限定だ。無償アップグレードは当初より一年間とアナウンスされており、この日が昨年のWindows 10の提供開始からちょうど一年となる。冒頭に記したとおり、期限まであと100日を切っているのだが、日本マイクロソフトの調査によれば、63%のユーザーがこのことを知らない。さらに、31%のユーザーがWindows 10の価値がどこにあるのか理解できていなかったそうだ。このため、Windows 10無償アップグレードの終了タイミングを知らしめると同時に、Windows 10の価値を改めて訴求していくわけだ。
なお、有償アップグレード版の提供については未定となっている。無償アップグレードの期間が終了したあと、Windows 10にアップグレードする場合、新規で購入する場合と同じ手順を踏む可能性が高そうだ。
ここでスピーカーがWindows本部の三上本部長にバトンタッチ。三上本部長は、Windows 10を支持するユーザーの声をいくつか紹介したあと、Windows 10はユーザーからのフィードバックを取り入れて開発し、これからもみんなと一緒に作っていくOSであり、「Windows 10でできる体験はどんどん進化している」と強調。Windows 10のメリットについてざっとおさらいした。
現在、Windows 7やWindows 8.1を利用しているユーザーはアップグレード通知のポップアップが表示されているはずだが、こちらはアップグレードを予約済みか、予約していないかでUIが少し異なることから、操作の注意を呼びかける。
日本は海外に比べてギリギリまで待ってアップグレードするユーザーが多い傾向があり、うっかり期日を過ぎないよう、ぜひゴールデンウィークを利用してアップグレードしてほしいと語った。
Windows 10は最後のメジャーアップグレードであり、常に最新版であることが強調される。とはいえ、この夏にはAnniversary Updateとして、少し大きなアップデート(Redstone)を準備している |
アップグレード予約ウィンドウの消し方。予約をしているかしていないかで変わる |
アップグレードに関して、アプリや周辺機器の互換性の不安や、サポートを希望する声が多いことから、Windows 10アップグレードガイドをリニューアル。さらに「Anser Desk サポート」を拡充する。例えば、Windows 10アップグレードガイドでは、サポートチームの間でよく出てくる質問をまとめ、「気になっているポイント」を解消し、アップグレードするメリットや具体的な方法の解説、アップグレードの相談窓口や参考情報の紹介、最新Windows 10搭載デバイスの情報提供などを行う。
ちなみに、日本にフォーカスした過去との互換性(ソフトウェアや周辺機器など)に関しては、米Microsoftの担当チームが1カ月間も日本に常駐。徹底的に検証したそうだ。こうした取り組みも含めて、三上氏は「安心してWindows 10にアップグレードしてほしい」とした。
直接のサポートを受け付ける「Anser Desk サポート」では、人数を2.5倍に拡大。年末年始の問い合わせに休みで受け付けられなかった反省を活かして、ゴールデンウィークを含む祝日も無休で受け付ける。
最後に、平野社長が再び壇上に昇り、「期日を知ってもらい、触ってもらい、質問に答える場として、Windows 10体験キャラバンを実施する」と発表。続けて毎月10日を「Windows 10の日」として、ユーザーにお得情報を伝えたり、Windows 10に関する様々な情報を発信していくと宣言した。