部屋の片付けは孤独な戦いだ。一度はきれいに片付いた部屋でも、物は少しずつ増えていく。出し入れを繰り返していく内に、整然としていた収納も段々と雑になる。せめて片付けがしやすいように整理収納を工夫したいが、どこをどうしたらいいか見当もつかない。そもそも今の収納の何が悪いのかわからない。何も悪くないと思う。悪いのはこの部屋だ! そうだ! 引っ越そう! ……と早まる前に、収納のプロを自宅に招いてアドバイスを受けてみてはいかがだろうか。
自宅に片付けのプロを呼ぶ
「プロを気軽に招けるなら最初から片付けに苦労なんてしません」と思う人がほとんどだと思うが、無料で招けるチャンスがある。住宅専門家のマッチングサービス「Houzz」とハウスキーピング協会共催の「片付け・収納のプロがあなたのお家に! Houzzでつくる新生活」キャンペーン(以下、「新生活キャンペーン」)では、ハウスキーピング協会認定・整理収納アドバイザーのすはらひろこ氏がキャンペーン当選者の自宅を訪問し、希望箇所の片付けを実践アドバイスしてくれるのだ。
今回は、「引っ越そう! 」と決心しかけていた片付け下手の筆者の部屋に、実際にすはらひろこ氏を招いて当選者が受けられる片付けアドバイスを体験した。そこで教わったテクニックの数々を紹介する。
突っ込みどころ満載のクロゼットを片付ける
まずは片付ける箇所を紹介しよう。今回収納アドバイスを受けるのは、筆者がひとりで暮らす部屋のクロゼットだ。下手なりに収納ボックスなどを駆使して主な衣服をかろうじて収納しているものの、普段は使わないクッションが隙間に押し込められていたり、アイロンや除菌スプレーがボックスの上にじかで乗っていたりと突っ込みどころは満載。「いつか使うかも」と思ってとりあえず箱に入れている紙袋は既に限界ギリギリまで押し込められている。
上部にあるスペースも有効活用できておらず、キャリーバッグと買い置きのティッシュペーパー、帽子、余ったハンガーや学生時代に使っていたキャンピングマットなど、使いどきのわからない物や置き場所のない物をとりあえず置いているという状況だ。できることなら、必要なものがすぐ取り出せて、訪れた人に見せても恥ずかしくないような収納にこのクロゼットを変身させたい。
「新生活キャンペーン」では、相当金額が1万円までであれば片付けに必要なグッズも用意してもらえる。筆者の混沌(こんとん)としたクロゼットのためにすはら氏が用意してくれたのは、筆者が使用しているものと同じ引き出しタイプの収納ボックス1個、ラタン素材の収納ボックス1個、布地の収納ボックス3個の計5品だ。これらの活用術も追って紹介する。
出せるものを全て取り出す
すはら氏の最初のアドバイスは、「まず、出せるものは全部出しちゃいましょう」というものだった。本当は一度収納を空にしたほうがいいらしいのだが、今回は時間も限られているため、クッションやカバン類、アイロンなど、ハンガーラックにかけていた服や引き出しボックス以外の物を取り出すことにした。
上部のスペースに置いていたものも全て床に下ろしていく。思ったよりいろんな物が出てくるもので、大昔にコストコで買ったトイレットペーパーなど「こんなの部屋にあったんだ……」と思うようなものも発掘された。
かさばらない服の畳み方を教わる
続いて、引き出しボックスの中に詰めていた服や小物の整理整頓にとりかかる。まずは、今の季節にはほとんど出番のない冬物のマフラーから。雑に入れると絡まりやすいマフラーは、畳むよりも丸めて円柱状にした方が収まりが良く、何が入っているかも一目でわかりやすいそうだ。
コンパクトに丸めたマフラーは、すはら氏が用意した布地の収納ボックスにまとめて、使わない季節の間は上部のスペースに保管しておくことになった。そうか、あのスペースは着ない服の保管に使えばいいのか……。
"衣替え"が面倒でしてこなかった筆者だが、これを機会に挑戦してみることにした。マフラーに続いて、秋冬物のセーターも布地のボックスに収納する。ここで、セーターの畳み方を紹介しよう。
まず両腕を前身頃の上でクロスさせ、両肩の端を襟ぐりの中心に寄せるようにして三つ折りにする。すると細い長方形となるので、これを縦に三つ折りに畳むだけ。単純な畳み方なので、不器用な筆者でも簡単にできた。その上スペースもとらず、並べやすく崩れにくい! セーターにかぎらず、衣類全般に使える基本の畳み方だそうだ。
大幅なスペース削減に成功!
あっという間にセーターも畳み終わり、すはら氏が用意した布地の収納ボックス3個に収まった。容量にはまだ余裕があるため、買い足しにも対応できそうだ。
セーターを畳んだ勢いで、Tシャツやズボンなども次々と畳んで収納しなおしていく。スボンは、二つ折りにしてから丸めればOK。薄手のTシャツなら、最後に三つ折りするところを四つ折りにすればよりコンパクトになる。「細い長方形にして縦に畳む」という基本をおさえていれば微調整が効くのも、この畳み方の利点だ。女性の場合は、ワンピースなどにも応用できる。
すはら氏が新たに用意した分もあり、引き出しボックスの容量に余裕が出たので、クロゼットの外のハンガーラックにかけていたシャツも畳んで収納することに。ハンガーラックを置いていた部屋の一角には、無理やりクロゼットに押し込んでいたクッションを置いておくことにした。
引き出しボックスは分離して使う
秋冬物をしまい、残った洋服もコンパクトに畳んだことで、シャツを入れてもまだ小さい引き出しボックス2つ分の空きがある。どう使ったものか、と思っていると、すはら氏は引き出しボックスを本体部分とカバー部分に分離し、カバー部分を縦にした。
「こうすれば、カバー部分と本体部分を別々の収納として使えます」とすはら氏。すごい。目からうろこだ。引き出しとして買ったものを引き出し以外の用途で使うという発想が、筆者には全くなかった。片付け上手な人はこういうことを瞬時に思いつくものなのだろうか……。
ボックスに突っ込まれていた紙袋は大小2つのサイズに分類し、大きい方は引き出しカバーで作ったボックスに、小さい方はひとつの紙袋をボックスとして使用して収納。この状態から増えないよう、今後はひとつ紙袋が増えたらひとつ捨てることを誓った。
もうひとつの引き出しカバーはクロゼット上部のスペースに置いて、ティッシュペーパーやトイレットペーパーのストックを収納。今まで雑に置いていたティッシュペーパーも、こうしてまとめておけば残量を把握しやすく、買い足しのタイミングもわかりやすい。一度取り出したキャリーケースとキャンピングマットも入れると、なんだか収納がすごくキチンとしてきた。
引き出しの本体部分は、ひとつは帽子を入れるボックスとして、もうひとつはカバンを入れるボックスとして活用。カバーを外したことで、中のアイテムを取り出しやすくなっている。
そして人に見せられる収納へ
引き出しボックスの上に置くだけだったアイロンや除菌スプレーはラタン素材のボックスにまとめ、帽子ボックスやカバンボックスと一緒にクロゼットの中に配置。するとどうだろう、以前からは考えられないほど整然としたクロゼットが誕生した!
ぱっと見は何の変哲もないクロゼットだが、全ての物があるべき場所に収まり、服の畳み方もきちんとしているので、半透明の引き出しボックスの中身も整って見える。これなら人に見せても恥ずかしくなさそう。
新生活が始まり、転居や模様替えに伴って、部屋の整理整頓や収納を考え直したいという人も少なくないのではないだろうか。当たり前だが、片付けのプロの手が入ると、自分で片付けるのとは段違いの仕上がりになる。ぜひおすすめしたい。
なお、今回のキャンペーンへの応募は、「Houzz」上にて4月30日まで受け付けている。対象は東京都・千葉県・神奈川県・埼玉県在住で20歳以上の「Houzz」ユーザーだが、「Houzz」の利用は無料なので気軽に応募可能だ。当日の片付け作業は3時間以内に終了できる範囲となる。応募方法など詳細は、キャンペーン公式サイトにて。