多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、『格安SIMは特定の時間帯に遅くなるの?』という質問に答えます。
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仮想移動体通信事業者(MVNO)は、大手キャリアである移動体通信事業者(MNO)から通信回線を借り受けることで、いわゆる「格安SIM」を提供しています。MNOは○Mbpsあたり△△万円/月といった基準でMVNOに通信回線を卸売りし、MVNOはそれを小分けにして一般ユーザに販売しているというわけです。
キャリアとエンドユーザ双方にとって合理的と思えるシステムですが、MNOから借りる回線の幅(帯域幅)によってレンタル料が決まるところに、格安SIMというサービスの限界があります。帯域幅に上限を設ける形で通信回線の貸与を受けているため、多くのユーザが同時に通信すると通信速度が低下してしまうことがあるのです。
一般的に、スマートフォンユーザのデータ通信は12時から13時あたりと、17時から20時あたりの時間帯によく利用されます。特に12時から13時あたりはメールやSNSを利用するユーザが多いこともあり、アクセスが集中します。MVNOが契約している帯域の上限に達してしまえば、格安SIMユーザの帯域幅を減らす、つまり各ユーザの通信速度を遅くすることで対応するしかありません。
MNOから借りる帯域幅を増やせば問題は解決しますが、そうするとMVNOがMNOに支払うレンタル料は増えますから、MVNOサービスとしての採算は悪化します。安さが身上のMVNOとしては、かんたんに値上げに踏み切るわけにもいきません。
MVNOの多くがデータ通信の負荷を分散(オフロード)する手段を持たないことも、原因といえます。大手キャリアは、駅や空港など人が多く集まるところに多数のWi-Fiスポット(公衆無線LAN)を用意し、ユーザにほぼ無償で提供することでオフロードを図っていますが、そのようなしくみを持たないMVNOはデータ通信を1つの回線に頼らざるをえません。消費者としては、混雑する時間帯/場所を避けて利用するか、口コミ情報などを参考に混雑が少ないMVNOを選ぶことが、有効な防衛策といえそうです。